薬剤師国家試験 第101回 問128 過去問解説

 問 題     

コーヒー摂取と発がんとの関係を調べるため、10,000人を対象として10年間のコホート研究を行った結果、コーヒー摂取(1日4杯以上)の有無によって肺がん発症率には差が見られないというデータが得られた(表1)。

そこで、コーヒーを多飲する人には、喫煙者が多いのではないかと考え、さらに解析を行った(表2)。

この解析に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 喫煙(1日5本以上)による肺がん発症の相対危険度は6.0と計算される。
  2. 喫煙1日5本未満の者では、コーヒー摂取(1日4杯以上)が肺がん発症の相対危険度を低下させることがわかる。
  3. 喫煙者(1日5本以上)の肺がん発症の相対危険度に、コーヒー摂取は影響を与えないことがわかる。
  4. コーヒー摂取1日4杯未満かつ喫煙1日5本未満である群が、最も肺がんの罹患率が低いことがわかる。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
喫煙に注目して、改めて表を考えると

肺がん発症
喫煙あり 50/5000
喫煙なし 20/5000 となります。

相対危険度とは、別名相対リスクです。暴露群と、非暴露群の疾病頻度の比です。よって、喫煙による相対危険度は 2.5 です。6.0 では、ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。

表2に注目すれば
喫煙無し かつ コーヒー有りだと 5/2000 に対し
喫煙無し かつ コーヒー無しだと 15/3000 となっています。よって、コーヒー摂取が肺がん発症の相対危険度を低下させているとわかります。

また、喫煙有りだと
コーヒー摂取ありで、30/3000
コーヒー摂取なしで、20/2000 となっており約分すれば同じです。よって、喫煙者の場合、コーヒー摂取は影響を与えないとわかります。

選択肢 4 ですが
罹患率が一番低いのは、コーヒー摂取あり かつ喫煙なし の群です。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

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