薬剤師国家試験 第101回 問124 過去問解説

 問 題     

食品の安全に関わる法制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ポジティブリスト制度により、国内で流通しているすべての農薬について、食品中の残留基準が個別に設定されている。
  2. HACCPとは、食品製造における最終製品の抜き取り検査による衛生管理の方法である。
  3. 特定保健用食品の関与成分の健康影響は、食品安全委員会が評価を行う。
  4. 食品表示法は、JAS法、食品衛生法、健康増進法の食品の表示に関する規定を統合して、包括的かつ一元的にしたものである。
  5. 食品添加物の規格や使用基準は、食品安全基本法で定められている。

 

 

 

 

 

正解.3, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
ポジティブリスト制度により原則として残留基準が設定されています。しかし明らかに健康を損なわない農薬(対象外物質)については、対象外です。すべての、ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
HACCP とは、食品の製造・加工工程における重要管理点を、連続的に監視することで製品の安全を確保するという衛生管理の手法 のことです。

HACCP と対比されるのが、最終製品の抜き取り検査 です。最終製品の抜き取り検査は、最終成果からサンプルを抜き取って一部だけ見て、大丈夫なら全部OKという検査です。この方法では、抜き取り検査が合格だったのに製品による事故が起きる、ということを完全に防ぐことができませんでした。とはいえ、全部を検査するのは時間・コストを考えると非現実的です。そこで、工程管理に検査の重点を置くという HACCP が注目されるようになりました。最終製品の抜き取り検査 と HACCP は、別の言葉です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。

選択肢 5 ですが
食品添加物に関して定めているのは食品衛生法です。食品安全基本法では、ありません。食品衛生法は、他にも農薬の残留基準などについて規定しています。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3,4 です。

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