問 題
以下は、コレステロール量の調節に関する説明文である。これに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
ヒト体内のコレステロールは、食事によって補給されるとともに、体内でも生合成される。また、細胞内のコレステロール量は一定量に保とうとする仕組みによって厳密に調節されている。なお、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA還元酵素(HMG-CoA reductase)はコレステロール生合成反応の律速酵素である。
- コレステロールやその生合成中間体であるメバロン酸は、HMG-CoA reductaseの活性を抑制する。
- コレステロールは、HMG-CoA reductaseの分解を抑制する。
- 細胞内のコレステロール量が減少すると、HMG-CoA reductaseの転写を正に調節する転写因子が活性化される。
- 細胞内のコレステロール量が減少すると、コレステロールの細胞内取込みに関わる低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein:LDL)受容体のmRNA量が減少する。
解 説
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
コレステロールやメバロン酸があればそんなに作らなくてもよい、という方向に調節されると考えられます。従って HMG – CoA reductase の活性が抑制されます。
選択肢 2 ですが
コレステロールがあればそんなに作らなくてもよい、という方向に調節されると考えられます。ところが HMG – CoA reductase の分解が抑制されると、合成が抑制されないということにります。従って、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい選択肢です。
コレステロールが減少するとたくさん作る方向に調節されると考えられます。転写が正に調節される、ということは mRNA が多く作られる ということです。mRNA が多く作られれば、タンパク質(HMG-CoA reductase)も多く作られます。つまり、コレステロール合成方向に調節されます。
選択肢 4 ですが
細胞内のコレステロール値は厳密に一定量に調節される、という記述から、細胞内のコレステロール量が減少すると細胞内への取り込みを促進する方向に調節されると考えられます。すると、LDL 受容体の量が多くなる方向に調節されるはずです。しかし mRNA 量が減少すると、LDL 受容体の量が減少してしまいます。従って、選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
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