問 題
ヒスタミンH1受容体拮抗薬であるレボセチリジン塩酸塩に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 薬物名中のレボは左旋性に由来する。
- 血液脳関門を通過しやすくするため、カルボキシ基が導入されている。
- エーテル結合の酸素原子は、水素結合のドナー(供与体)として、ヒスタミンH1受容体との結合親和性を高める。
- セチリジンのラセミックスイッチ(キラルスイッチ)により開発された光学活性体である。
正解.1, 4
解 説
選択肢 1 は、正しい記述です。
レボ=levo で、左 を意味する言葉です。ちなみに、(-)で表されます。R や S と、旋性 は、関連がないことに注意が必要です。参考)有機化学まとめ キラリティーと光学活性
選択肢 2 ですが
COOH 、つまりカルボキシル基は構造中に見られます。しかし、レボセチリジンは副作用である眠気等の軽減のために活性体である光学異性体のみを分離するという開発目的をもった薬です。眠気等は中枢性の副作用であることから、血液脳関門を通過しやすくなるという意図でカルボキシル基が導入された、という記述は不適当であると思います。
さらにそもそもカルボキシル基の導入は水溶性の増加 を意味します。そして、BBB を通過しやすいのは疎水性の物質です。従って、BBB を通過しやすくするために水溶性が増加するような、カルボキシル基を導入している、というのは誤りと考えられます。以上より、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
水素結合のドナー とは、プロトンの供与体のことです。O-H の H などです。酸素などの、陰性原子は「アクセプター」です。ドナーでは、ありません。参考)物理化学まとめ 分子間相互作用
。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい選択肢です。
以上より、正解は 1,4 です。
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