薬剤師国家試験 第100回 問238-239 過去問解説

 問 題     

41歳男性。就寝中に胸部圧迫感が出現。近医で検査の結果、冠攣縮性狭心症と診断され、薬物療法が開始された。患者情報は以下の通りである。

血圧 130/75mmHg、心拍数 58回/分、呼吸数 14回/分
喫煙 30本/日、飲酒 ビール350mL×3本/日、営業職で残業が多い

問238

薬剤交付時に患者に伝えるべき注意事項として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 内服薬は、副作用として低血糖を起こしやすい。
  2. 内服薬の効果が現れにくくなるので、納豆を摂取することは避ける。
  3. 内服薬は、症状が改善しても自己判断での服薬の中断はしない。
  4. エアゾール剤は、発作時の痛みの程度に応じて噴霧回数を調節する。
  5. エアゾール剤は、噴霧孔を上にして垂直に立てて持ち、噴霧孔をできるだけ口に近づけて噴霧する。

問239

冠攣縮性狭心症の重大な危険因子として喫煙がある。我が国における喫煙及び喫煙対策に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 2000年以降の日本人男性の喫煙率は低下しており、現在、欧米諸国に比べかなり低い。
  2. 環境基本法では、病院の管理者に、利用者の受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めることを義務づけている。
  3. 2013年度から開始された「21世紀の国民健康づくり運動(健康日本21(第2次))」で、未成年の喫煙率0%をはじめ、喫煙に関する目標が設定されている。
  4. 特定保健指導の対象者の選定・階層化には、喫煙歴の有無も加味される。
  5. 医師によるニコチン依存症患者への禁煙指導は、医療保険給付の対象外である。

 

 

 

 

 

正解.
問238:3, 5
問239:3, 4

 解 説     

問238

選択肢 1 ですが
ニフェジピンの副作用として高血糖があります。低血糖を起こしやすい、ということはありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
納豆摂取を避けるべき薬は、ワルファリンです。ニフェジピンの効果に影響がある食べ物としては、グレープフルーツジュース(GFJ)があります。また、その相互作用は、内服薬の効果を
増強する方向です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい選択肢です。

選択肢 4 ですが
痛みの程度によらず、1回1噴霧です。痛みが3分経っても収まらない時にもう1回使用します。3回以上は使用しません。痛みが2回めの使用以後も改善しない場合は、重度の狭心症の危険があり救急車を呼ぶべき状態です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい選択肢です。
ちなみに初めての使用 及び 1ヶ月程度使用していない場合の使用 では、空噴霧を数回行い、薬液が噴霧されることを確認した上、使用します。また、寝ている場合は頭を少し起こして使用します。

以上より、正解は 3,5 です。

問239

選択肢 1 ですが
日本人男性の喫煙率は低下傾向です。JT の「全国たばこ喫煙者率調査」によれば約 30 % です。ですが、欧米諸国に比べかなり低いとはいえません。欧米の男性も、大体 20~30 % の喫煙率です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
受動喫煙防止措置の努力義務は、健康増進法により規定されています。環境基本法では、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。

選択肢 5 ですが
いわゆる禁煙外来であり、保険適用です。つまり、医療保険給付の対象です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3,4 です。

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