問 題
43歳男性。胃潰瘍の治療のため、オメプラゾール腸溶錠20mgを1日1回投与されることになった。
問206
オメプラゾール腸溶錠を適切に使用するための情報として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 逆流性食道炎の治療にも用いられる。
- 小腸の管腔内で活性体に変化する。
- 通常、胃潰瘍の治療では、最長8週間まで投薬できる。
- CYP2D6の活性が低い場合は、オメプラゾールの血中濃度が上昇しやすい。
- 併用すると、アタザナビル硫酸塩の吸収率が高まる。
問207
オメプラゾールの構造及びその生体内での変化に関して誤っている記述はどれか。1つ選べ。
- オメプラゾールはイオウ原子上に不斉中心を持つ。
- Aはオメプラゾールの分子内置換反応によって生成する。
- BからCへの変換によって生成する分子Eは水である。
- Cは酵素Fのシステイン残基と反応してDになる。
- オメプラゾールは酵素Fを不可逆的に阻害する。
正解.
問206:1, 3
問207:2
解 説
問206
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
選択肢 2 ですが
胃酸での分解を避けるためコーティングされており、腸でオメプラゾールとして吸収されます。そこで活性体に変化するわけでは、ありません。
選択肢 3 は、正しい選択肢です。
逆に言うと、8週間以上の投与は、保険適用外になります。これは、作用が強く、治療に必要な時間が速いことがわかっており、余計な投薬を避けるためです。仮に、8週間以上症状が続くようであれば胃潰瘍ではない疾患の疑いがでてきます。
選択肢 4 ですが
オメプラゾールの主な代謝酵素は CYP 2C19 です。2D6 の活性が低くとも血中濃度にほぼ影響はないと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
アタザナビルとの併用は禁忌です。これは、オメプラゾールが胃酸分泌を抑制することで、アタザナビルの溶解性が低下し吸収率が下がってしまうためです。アタザナビルの吸収率が高まるわけでは、ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
問207
選択肢 1,3,4,5 は、正しい選択肢です。
選択肢 1,2,3 は
構造から判断できるとよいと思います。
誤っているのは、選択肢 2 です。
分子内「置換反応」ではなく、分子内「転位反応」です。
選択肢 4,5 に関しては
オメプラゾールの作用機序として、H++/K+ /ATP ase の SH 基に結合し不可逆的に酵素を阻害する、という点をしっかりと覚えておくとよいと思います。
以上より、正解は 2 です。
コメント