薬剤師国家試験 第100回 問166 過去問解説

 問 題     

薬物の吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 口腔粘膜から吸収される薬物は、肝初回通過効果を回避できるが、小腸と比較して口腔の粘膜が非常に厚いため、速やかな吸収が期待できない。
  2. 肺からの薬物吸収は、一般に、Ⅰ型肺胞上皮細胞を介した単純拡散によるものである。
  3. 皮膚の角質層の厚さには部位差があることから、薬物の経皮吸収も部位により大きく異なることがある。
  4. 鼻粘膜は、主に吸収を担う多列繊毛上皮細胞が密に接着していることから、バリアー機能が高く、一般に薬物吸収は不良である。
  5. 坐剤の適用は、即効性は期待できるものの、経口投与時と同程度に肝初回通過効果を受ける。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
口腔粘膜からの吸収は、肝初回通過効果を回避し速やかに行われます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。

選択肢 4 ですが
胃での分解を避けるために点鼻薬を用いることがあることなどをふまえると、一般に薬物吸収が不良であるとはいえないと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
坐剤を使用すると、直腸下部(おしりに近い方)からの吸収において肝初回通過効果を避ける事ができます。(直腸上部からの吸収は肝初回通過効果を受けます)。ちなみに、吐き気止めであるナウゼリン坐剤や解熱薬であるジアゼパム坐剤などが代表的な薬です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

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