薬剤師国家試験 第100回 問132 過去問解説

 問 題     

化学物質とその毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ハロタンは、アレルギー反応を引き起こし、肝毒性を発現する。
  2. ホルムアルデヒドは、紫外線による活性化を受けて皮膚毒性を発現する。
  3. カルバリルは、活性酸素種の産生を介して肺毒性を発現する。
  4. ジクロルボスは、シトクロムcオキシダーゼに結合し、神経毒性を発現する。
  5. アニリンとニトロベンゼンの血液毒性発現には、共通の代謝物の生成が関与する。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

選択肢 1 は、正しい選択肢です。

選択肢 2 ですが
ホルムアルデヒドといえば、シックハウス症候群です。シックハウス症候群には、皮膚刺激も含まれることから、紫外線による活性化を受けなくても皮膚に対する毒性があると考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
カルバリルは、カルバメート系殺虫剤の一種です。コリンエステラーゼ阻害剤です。毒性としては、変異原性や発ガン性の疑いがあります。活性酸素種の産生を介して肺毒性を発現する、という記述はパラコートに関するものであると考えられます。

選択肢 4 ですが
ジクロルボスは、有機リン系の殺虫剤です。コリンエステラーゼ阻害作用があります。シトクロム c に結合して神経毒性を示すわけではありません。シトクロム c オキシダーゼに結合し神経毒性を発現するという記述は、シアン化物に関するものであると考えられます。

選択肢 5 は、正しい選択肢です。
ちなみに共通の代謝物は、フェニルヒドロキシルアミンです。共通の毒性は、メトヘモグロビン血症です。

以上より、正解は 1,5 です。

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