薬剤師国家試験 第100回 問111 過去問解説

 問 題     

下図はヒト表皮の模式図である。この図についての記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1.  ①の層は、ビメンチンが重合した中間系フィラメントを豊富に含む。
  2.  ②の層には、毛細血管が豊富に分布している。
  3.  ②の層にある細胞Aは、触覚の受容に関与する。
  4.  ③の層では、細胞の新生と増殖が起こっている。
  5.  ③の層にある細胞Bは、日焼けに関連する物質を産生している。

 

 

 

 

 

正解.4, 5

 解 説     

表皮は、上の方から 角層、顆粒層、有棘(きょく)層、基底層に分類されます。本問では ① が角層、①と②の間が顆粒層、②が有棘層、③が基底層 です。以下、各選択肢を検討します。

選択肢 1 ですが
ビメンチンは中間径フィラメントの一種です。中間径フィラメントとは、細胞骨格と呼ばれる細胞質内のタンパク質性の繊維系の一つのことです。上皮組織の中の角層に多く含まれるのは、ケラチンと呼ばれる中間径フィラメントの一種です。ビメンチンでは、ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
図にある通り、毛細血管は ② の層まで入り込んではいません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
細胞 A は、ランゲルハンス細胞を表しています。ランゲルハンス細胞は、抗原掲示細胞の一種です。自然免疫に関与します。ちなみに、触覚に関与するのは基底層に存在するメルケル細胞です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4,5 は、正しい選択肢です。

ちなみに、日焼けに関連する物質はメラニンです。メラニンが作られる細胞 B は色素細胞(メラノサイト)と呼ばれます。

以上より、正解は 4,5 です。

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