薬剤師国家試験 第100回 問105 過去問解説

 問 題     

次の医薬品のうち、医薬品そのもの、または代謝物が、標的酵素の活性部位と共有結合を形成するのはどれか。2つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

本問は化学を前提とした、薬理学の問題 といえます。すなわち「有名な医薬品の構造をずばり覚えているか」という点が化学の知識としてまず問われています。そして、その医薬品の薬理作用も(当然)覚えているだろうから構造がわかれば簡単だよね? という問題です。

(いや、正直、結合様式とか曖昧だよと文句を言いたくなりました。。。『ちなみに、薬が受容体と共有結合を形成する』ということは→『がっちりくっつく。非可逆的。』がポイントです。とはいえ、がっちりくっつくことが薬効とどう関係があるか などは別の話です。「共有結合を形成する、薬物と受容体の相互作用は、非可逆的」 であるだけです。)

選択肢 1 は、オセルタミビル(タミフル)です。
ノイラミニダーゼと非共有結合で相互作用します。

選択肢 2 は、プラバスタチンです。
HMG-CoA 還元酵素 と、非共有結合で相互作用します。

選択肢 3 は、フルオロウラシルです。
チミジル酸合成酵素と、共有結合します

選択肢 4 は、ファモチジンです。
H2受容体と非共有結合で相互作用します。

選択肢 5 は、ベンジルペニシリンです。
トランスペプチダーゼと、共有結合で相互作用します

以上より、正解は 3,5 です。

この問題は将来「問題文に示す医薬品、標的酵素、結合様式 の組合せの中で誤っているものはどれか」みたいに改題されてもおかしくない。という印象です。

以下、雑感
こうして並べて比較すると「プラバスタチンには、N、Sといった元素が含まれていない」「フッ素を含む医薬品が、相対的に分子量が小さく抑えられている」「4~6員環の存在感が大きい」など、構造から医薬品を見るってやっぱりすごく面白いなぁ。という感想を持ちます。

「これらの医薬品の構造からあなたが特徴的と思う点についてあげよ。」「この医薬品の中で、最も興味をひかれるのはどれか。その理由をあげて簡潔に説明せよ。」といった、ボーナス問題 としての扱いをすべきではないかと個人的には思います。雑感終わり。

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