公務員試験 H30年 国家専門職(食品衛生監視員) No.5公衆衛生学Ⅰ(1)解説

 問 題     

疫学に関する記述①~⑤について,妥当なものには○を,妥当でないものには×をそれぞれ記せ。

① バイアス(偏り)は,標本数を増やすほど小さくなる。

② 症例対照研究では,被験者による思い出しバイアスの影響を受けやすい。

③ 原因と目される要因と疾病発生との関係の観察に影響を与え,真の関係とは異なった観察結果をもたらす第3 の因子を交絡因子という。

④ コホート研究は,発生頻度の低い疾病の調査に適している。

⑤ 被験者や介入担当者に,対照群と介入群のどちらに割り付けられたかを知らせないようにすることをランダム化と呼ぶ。

 

 

 

 

 

 解 説     

記述①は妥当と考えられます。
ちなみに、バイアスによる誤差を減らすことはだんだん難しくなります。すなわち、標本数を 100 → 200 にすることで減るバイアスよりも、10000 → 20000 にすることで減るバイアスの方が小さいです。したがって、調査にかかる費用等も考慮し、どの程度のバイアスを許容するかをふまえた実験デザインが重要になります。

記述②は妥当です。
症例対照研究は、後ろ向き調査の代表例です。すなわち、既に病気になった人を対象とし、何が病気の原因になったか調査します。過去のことをアンケートなどで調査するため「思い出しバイアス」の影響を受けやすいといえます。

記述③は妥当な記述です。

記述④ですが
コホート研究前向き研究の代表例です。すなわち、現在は病気になっていない人を対象とした研究です。したがって、発生頻度の低い疾病に対して行うと、ずーっと見ていって、結局調査している群に対して何もおきなかった という結果になりかねません。そうすると調査にかけた時間も人手も無駄になります。よって、記述④は妥当ではありません。

記述⑤ですが
記述は「二重盲検化」についてです。ランダム化とは、対象者をランダムに複数のグループに分けることです。よって、記述⑤は妥当ではありません。

以上より
①◯、②◯、③◯、④☓、⑤☓ です。

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