公務員試験 H30年 国家専門職(食品衛生監視員) No.2食品化学Ⅱ(2)解説

 問 題     

遺伝子組換えに関する次の記述の Ⓐ~Ⓙ に当てはまるものを語群から選び出し,それぞれの番号を記せ。

「遺伝子組換え技術とは,遺伝情報を伝達する物質であるⒶ を人工的に組み換えた後に,動植物などの遺伝子にはめ込み,動植物などの形質を改良するための技術である。この技術はⒶ の特定塩基配列を特異的に切断する役割を持つⒷ と,DNA 断片を連結する役割を持つⒸ を利用して行うものである。

具体的な手法としては,有用なタンパク質の遺伝子をコードするⒹ を単離した後, Ⓔ によりⒻ を合成する方法や, Ⓑ で切断したⒼ にⒻ 又は有用遺伝子をⒸ で挿入する方法がある。このⒼ などのDNA を大腸菌などの宿主に取り込ませること(導入すること)をⒽ という。

そして, Ⓖ が組み込まれた大腸菌などを培養することで,有用なタンパク質を大量に生産することが可能となる。このような技術を用いて既に凝集酵素としてⒾ などが製造されている。

また,植物においては,商業的にⒿを利用した方法が確立されており,この技術により薬剤耐性を持つ植物が作出されている。」

<語群>
①逆転写酵素,②転写酵素,③複写酵素,④制限酵素,⑤ポリメラーゼ,⑥ポリエチレングリコール,⑦レンネット,⑧プロテアーゼ,⑨プラスミド,⑩DNA,⑪cDNA,⑫DNA リガーゼ,⑬mRNA,⑭rRNA,⑮tRNA,⑯形態変化,⑰形質転換,⑱エンドサイトーシス,⑲アグロバクテリウム,⑳トランスジェニック

 

 

 

 

 

 解 説     

遺伝情報伝達物質は「DNA」です。DNA の特定塩基配列を特異的に切断するのは「制限酵素」です。 ハサミ に例えられます。一方、DNAをつなぎ合わせる のり に例えられるのが「DNAリガーゼ」です。

D~F については『B で切断した G に F or 有用遺伝子を C で挿入』という文章と語群から考えて、G が「プラスミド」です。するとそこに挿入するものとしては F が 「cDNA」 と考えられます。cDNA を合成するために 「mRNA」 を単離し、「逆転写酵素」で cDNA を合成する という手法をとります。DNA を宿主に導入することを「形質転換」と呼びます。

製造されている有用タンパク質としては、チーズの製造に用いられる凝集酵素である「レンネット」があります。また、植物においては「アグロバクテリウム」という細菌を用いて遺伝子導入を行う方法が確立しています。

以上より
A DNA ⑩
B 制限酵素 ④
C DNAリガーゼ ⑫
D mRNA ⑬
E 逆転写酵素 ①
F cDNA ⑪
G プラスミド ⑨
H 形質転換 ⑰
I レンネット ⑦
J アグロバクテリウム ⑲ です。

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