公務員試験 H30年 国家専門職(教養) No.35解説

 問 題     

18 世紀以降のフランスに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.クリミア戦争への参戦によって破産状態に陥っていた国家財政を立て直すため,国王は,免税特権を認められていた貴族たちにも課税しようとした。これに反発した貴族たちは,第一身分の国王,第二身分の貴族,第三身分の平民から成る三部会の招集を要求した。

2.1789 年,軍隊のヴェルサイユ集結の動きに危険を感じた農民が全国で反乱を起こし,その影響を受けたパリ市民がバスティーユ牢獄を襲撃した。この事態を沈静化するため,国民議会は封建的特権の廃止を決議し,領主裁判権や賦役,領主地代を無償で廃止した。

3.国民議会は,ラ=ファイエットらが起草して,全ての人間の自由・平等,国民主権,私有財産の不可侵などをうたった人権宣言を採択した。また,教会財産の没収,ギルドの廃止などの改革が進められて,立憲君主政の憲法が発布された。

4.ロベスピエールを中心とするジロンド派政権は,ヴェルサイユ体制を維持するため,これの反対派とも話合いを重ね,協働して民主化を図った。この政権は,権力の掌握を狙うナポレオン=ボナパルトが起こしたテルミドール9 日のクーデタによって倒された。

5.ナポレオン=ボナパルトは皇帝に即位し,第一帝政を開始した。彼は,ワーテルローの戦いではネルソンが率いるイギリス軍に勝利したが,トラファルガーの海戦ではプロイセン・ロシア軍に大敗した。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
フランスにおいて国王が免税特権を認められた貴族たちにも課税しようとしたのは、ルイ 16 世時代の深刻な財政危機からの流れです。「クリミア戦争(1853~56年。ロシア VS オスマン帝国+英・仏。この頃はナポレオン3世の時代)への参戦によって破産状態に陥っていた国家財政を立て直すため」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
バスティーユ牢獄襲撃への流れは OK です。その後領主地代を”有償廃止”しました。無償廃止ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
ロベスピエールは、フランス革命時の有力革命派です。ジロンド派ではなく、山岳派です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
ネルソン率いるイギリス軍が勝利したのがトラファルガーの海戦です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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