公務員試験 H30年 国家専門職(教養) No.34解説

 問 題     

明治時代の政治に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.政府は,版籍奉還により旧藩主を旧領地の知藩事に任命し藩政に当たらせた。その後,政府は薩摩・長州・土佐の3 藩の兵から成る御親兵によって軍事力を固めた上で廃藩置県を行った。これにより藩は廃止され府県となり,知藩事に代わって中央政府が派遣する府知事や県令が地方行政に当たることとなった。

2.西郷隆盛を中心とした鹿児島士族らによる反乱である西南戦争が起こると,これに続き,佐賀の乱や萩の乱などの士族の反乱が全国各地で頻発した。政府はこれらの反乱を長期間にわたる攻防の末に鎮圧したが,その後,兵力不足を痛感した政府は国民皆兵を目指す徴兵令を公布した。

3.大隈重信は,開拓使官有物払下げ事件が起こると,これをきっかけにして明治十四年の政変を主導して伊藤博文らを中心とする藩閥勢力に大きな打撃を与えた。大隈重信は,その後,下野し,国会開設に備え,フランスのような一院制の導入と主権在民を求める立憲改進党を設立した。

4.第1 回衆議院議員総選挙においては,立憲自由党や立憲改進党などの民党は大敗し,その勢力は衆議院の過半数にはるかに及ばない結果となり,民党は政府と激しく対立していった。また,この選挙結果に不満を持った民党の支持者らは,福島事件や秩父事件を起こした。

5.日露戦争で我が国が勝利すると,山県有朋内閣は軍事力の更なる拡大を目指し軍部大臣現役武官制を定めるとともに,治安警察法を公布して政治・労働運動の規制を強化した。その後,ジーメンス事件と呼ばれる汚職事件の責任をとって退陣した山県有朋は立憲政友会を結成し,伊藤博文が率いる軍部・官僚・貴族院勢力と対立した。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は、妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
順番は佐賀の乱や萩の乱が起き、最大の士族反乱として西南戦争です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
開拓使官有物払下げ事件を契機に、大隈重信一派は政府から追放されます。これが「明治十四年の政変」です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
第1回衆議院議員総選挙(1890年)の結果、立憲自由党や立憲改進党などの民党が「過半数」獲得します。福島事件は 1882 年の、自由民権運動における最初の激化事件です。秩父事件は 1884 年の最大の激化事件です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
軍部大臣現役武官制は「日清戦争後」です。日露戦争後ではありません。また「立憲政友会」を作ったのは憲政党と伊藤博文派です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

コメント