公務員試験 H30年 国家専門職(教養) No.33解説

 問 題     

細胞小器官に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.細胞膜は,主にリン脂質とタンパク質から成り,リン脂質の疎水性の部分を外側,親水性の部分を内側にしてできた二重層に,タンパク質がモザイク状に分布した構造をしている。細胞膜を挟んで物質の濃度に差があるときに,濃度の高い側から低い側に物質を透過させる性質を選択的透過性という。

2.核は,原核細胞に存在し,細胞の形態や機能を決定する働きをしている。核の内部には染色体や1 ~数個の核小体があり,最外層は核膜と呼ばれる二重の生体膜である。染色体は,主にDNA とタンパク質から成り,細胞が分裂していないときには凝集して棒状になっているが,分裂期には核内に分散する。

3.ミトコンドリアは,内外二重の生体膜でできており,内部に向かって突出している内膜をクリステ,内膜に囲まれた部分をマトリックスという。呼吸の過程は,細胞質基質で行われる解糖系,ミトコンドリアのマトリックスで行われるクエン酸回路,ミトコンドリアの内膜で行われる電子伝達系の3 段階に分けられる。

4.葉緑体は,植物細胞に存在し,内外二重の生体膜で囲まれた内部にチラコイドと呼ばれる扁平な袋状構造を持ち,チラコイドの間をストロマが満たしている。光合成では,葉緑体のストロマで光エネルギーの吸収と二酸化炭素の固定が行われた後,葉緑体のチラコイドで水が分解され,酸素と有機物が生成される。

5.ゴルジ体は,真核細胞と原核細胞の両方に存在し,二重の生体膜から成る管状の構造をしており,細胞分裂の際に細胞の両極に分かれて微小管を形成するほか,べん毛,繊毛を形成する際の起点となる。ゴルジ体は,一般的に植物細胞には見られないが,コケ植物やシダ植物の一部の細胞などで見られる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
細胞の周りは水なので「親水性」が外側です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
核が存在するのは「真核」生物です。原核生物には明確な核構造が見られません。また、「分裂期」に「凝集」です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
まずチラコイドで行われるのが「光エネルギーを用いた水の分解」です。明反応とも呼ばれることがあります。その後ストロマで暗反応と呼ばれる、二酸化炭素の固定が行われます。順番が違います。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「ゴルジ体が微小管を形成する」というのは明らかに誤った記述です。ゴルジ体は真核生物に見られ、タンパク質の糖鎖修飾などを担っている細胞内小器官です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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