公務員試験 H30年 国家専門職(教養) No.29解説

 問 題     

我が国の子どもを取り巻く状況に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.2007~2016 年における刑法犯少年の検挙人員は連続して減少しており,この10 年間で3分の1 以下にまで減少している。また,同期間における少年を被害者とする刑法犯認知件数についても,この10 年間で半分以下にまで減少している。一方,主にスマートフォンを利用したコミュニティサイトに起因する犯罪の被害児童数は,2016 年にそれまでの過去最多となった。

2.経済協力開発機構(OECD)が公表した72 か国・地域の15 歳を対象とした学習到達度調査の2012 年調査結果によると,我が国の読解力の平均得点は,調査参加国中1 位である一方,科学的リテラシーの平均得点は10 位以下となった。こうした結果を踏まえ,理数教育の充実や情報活用能力の育成を目指した学習指導要領が2017 年より実施されている。

3.2016 年における出生数は,2015 年に本格施行された「子ども・子育て支援新制度」などの子育て支援策の効果もあり,再び100 万人を上回った。一方,出生数から死亡数を引いた自然増減数は,10 年前に急速にマイナスに転じたが,高齢者の長寿化が要因となり,近年ではマイナス10 万人前後で推移している。

4.2016 年の国民生活基礎調査によると,我が国の子どもの相対的貧困率はおよそ25 % である。そのため,「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定され,一定の収入額未満の世帯の高等学校等に通う生徒に対して高等学校等就学支援金を支給する制度が2017 年に新設されるなど,教育の支援や子どもの就労支援等,子どもの貧困に関する指標の改善に向けて重点施策が進められている。

5.少子化の一方で,2016 年4 月1 日時点での待機児童数は5 万人を上回った。こうした背景の一つとして,雇用者の共働き世帯の数が,男性雇用者と無業の妻から成る世帯の数を初めて上回ったことが挙げられる。そのため,待機児童解消に向けて,2017 年度に保育施設で保育に従事する全ての保育士を対象に,月額4 万円の給与面での処遇改善が行われた。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが、読解力平均は「4位」です。1位ではありません。また、科学的リテラシーの平均も「4位」です。10位以下ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、出生数について 2016(H28)年は、統計上初の 100 万人を下回った年です。よって「再び 100 万人を上回った」という記述は明らかに誤りです。ちなみに、自然増減は、試験時点で ー30 万人以上です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、相対的貧困率は「およそ 6~7 人に1人」というフレーズを思い出せば「25%」は高すぎると判断できるのではないでしょうか。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、保育士の給与面での処遇改善において、「全ての保育士対象」は 「2%(月 6000 円)の引き上げ」です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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