公務員試験 H30年 国家専門職(教養) No.26解説

 問 題     

図Ⅰは児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数の推移を,図Ⅱはその相談種別構成割合の推移を示したものである。これらから確実にいえるのはどれか。

1.平成19~27 年度における相談対応件数は,いずれの年度においても前年度と比べて1.2 倍未満である。
2.平成19 年度のネグレクトの相談対応件数は,平成23 年度のそれより少ない。
3.平成22 年度の身体的虐待の相談対応件数の対前年度増加率は,平成23 年度のそれより小さい。
4.平成27 年度の性的虐待の相談対応件数は,平成20 年度のそれの1.5 倍を上回っている。
5.平成27 年度の心理的虐待の相談対応件数は,平成24 年度のそれに比べ, 3 万件以上増加している。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、図Ⅰに注目します。

どこかで 前年度と比べ 1.2 倍以上になっていればこの選択肢は誤りです。そこで傾きが急な所に注目します。一例として H21 → H22 に注目します。すると、相談対応件数は 44211 → 56384 です。45000 → 56000 と考えても 45000 の 1.2 倍が 54000 < 56000 なので、 明らかに H22 は 前年度 1.2 倍以上です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は確実にいえます。

図Ⅰより、H19 相談対応件数は 40639 です。図Ⅱより、H19 ネグレクトは 38.0% です。同様にH23 相談対応件数は 59919 で、ネグレクトは 31.5% です。相談対応件数が 40000 → 60000 ぐらいと大雑把に評価すれば 1.5 倍弱ぐらいです。

割合の変化が 38.0% → 31.5% と0.8倍程度です。全体が 1.5 倍、割合が 0.8 倍なら、件数は 1.2 倍程度になっているはずです。つまり H19 年度の方が少ないとわかります。

選択肢 3 ですが、対前年増加率なので H21 → H22 と、H22 → H23 に注目です。

すると H21→H22 は相談対応件数全体が急激に伸びています。選択肢 1 でも注目した部分ですが、大体 1.2 倍以上になっています。身体的虐待の割合はH21から 39.3% → 38.2% → 36.6% と、漸減傾向ですがそこまでの変化はありません。

従って、全体の相談対応件数がぐっと伸びている H21 → H22 の方が、相談対応件数の増加率は大きいと読み取れます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、H20 年度の相談対応件数は 42664、性的虐待の割合は 3.1% です。H27 年度の相談対応件数は 103260、性的虐待の割合は 1.5% です。全体が 2.5 倍弱、割合が 0.5 倍程度なので、2.5 × 0.5 で 1.25 倍程度と考えられます。1.5 倍は上回っていません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、全体の相談件数の増加数が H24 → H27 で約 3.6 万人なので、相談対応件数のほぼ全てを占めるというのなら、3万人の増加もありえます。

しかし図Ⅱで心理的虐待の占める割合をちらっと見れば、「心理虐待の対応件数だけで 3 万件増加」はさすがにないと判断できるのではないでしょうか。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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