問 題
我が国の租税や財政に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.一般会計は,社会保障や公共事業などの幅広い目的で支出を行い,税を財源にしなければならない。また,特別会計は,第二の予算とも呼ばれ,公債を財源としなければならない。
2.財政の資源配分の機能とは,累進的な税制や生活保護などの社会保障給付によって,高所得者から生活が困難な人々に所得を配分することで,所得の平等化を図ることである。
3.財政の自動安定化装置とは,景気の動向に左右されにくく,安定した税収を得られる仕組みのことをいい,代表的なものとして固定資産税や相続税が挙げられる。
4.裁量的財政政策を採ると,不況期には増税を行い,財政支出を増やすことで有効需要を拡大し,好況期には減税を行い,財政支出を減らすことで有効需要を抑制する。
5.消費税は,所得にかかわらず消費額に一律の税率を適用するため,低所得者ほど所得に対する税負担の割合が高くなるという逆進性がある。
解 説
選択肢 1 ですが
一般会計も特別会計も、財源は税や公債です。どちらを財源にしなければならない、ということはありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
財政は資源配分、所得再分配、経済の安定化の三つの機能を果たします。記述は「所得再分配」についてです。資源配分機能とは、政府が自ら公共財・サービスの供給を行うことです。市場に任せていると失敗する分野なので政府が行う必要があります。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
財政の自動安定化装置とは、財政自体に備わっている、景気変動を自動的に調節する機能のことです。景気がよくなれば所得増大により税収も増え,財政が黒字となり景気過熱を抑制します。不景気時は,税収が減り,社会保障費の支払いが増え、財政が赤字となり景気を支えます。(国家一般職 H29 no39)。「景気の動向に左右されにくく、安定した税収を得られる仕組みのこと」ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
財政に備わっている自動安定化装置は、景気変動を緩和しますが、相殺はできません。そこで状況に応じて臨機応変に財政政策を行うのが裁量的財政政策です。具体的には、不況期に減税や支出増加、好況時に増税や支出減少です。不況期と好況期の政策が逆です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
消費税の逆進性についての記述です。
以上より、正解は 5 です。
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