過去問 H30年 国家一般職(高卒 基礎)No.37解説

 問 題     

国民所得や経済成長に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.国内総生産(GDP)は,ストックの代表的な指標であり,これまでの経済活動によって蓄えられた有形資産から対外純資産を差し引いたものである。

2.一定期間内に生み出される付加価値の合計は,三面等価の原則により国民所得(NI)に一致する。また,付加価値の合計は,中間生産物の金額が増えると高くなる。

3.経済成長率は経済活動の実態を示す指標の一つであり,一般に,実質GDP の変化率である実質経済成長率が用いられる。

4.消費者物価指数とは,平均的なコンビニエンスストアでの商品の価格によって算出され,販売価格が希望小売価格を上回ると指数は上昇する。

5.緩やかなデフレーションは,将来の景気回復を見越しての消費や投資を活性化させるが,これが続くと預貯金の価値が減少するデフレ・スパイラルを引き起こす。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
GDP は、国全体のフローを示す指標といえます。「ストックの代表的な指標」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
三面等価の原則とは「生産、支出、分配(所得)の三つのどの流れから捉えても同じ値となる」という原則です。そして、一定期間内に生み出される付加価値の合計とは、要するに総生産といえます。したがって、総生産=総支出=総分配(所得)と考えられます。

ここで「国民所得(NI)」については、基礎知識となります。NI は「国民純生産ー(間接税ー補助金)」です。生産と等しいものではないため、誤りと考えられます。

さらに、付加価値の合計は「財貨サービス産出総額ー中間生産物」で計算します。中間生産物とは、他の企業から購入した原材料などです。中間生産物が増えると、付加価値の合計は「低く」なります。したがって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は妥当です。
経済成長率に関する記述です。

選択肢 4 ですが
消費者物価指数とは、消費者が購入する財及びサービスの価格を総合した物価指数です。数百の品目に注目して、価格変動を測定します。家賃や水道光熱費などの調査結果も反映された指数です。「平均的なコンビニエンスストアでの商品の価格」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
デフレスパイラルとは、物価下落→賃金減少→需要減→物価がさらに下落 という流れのことです。「預貯金の価値が減少すること」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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