公務員試験 H29年 国家一般職(教養) No.39解説

 問 題     

財政やその機能に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.財政とは,国が単独で行う経済活動をいい,その機能には,資源配分,所得再分配,景気調整,金融調節,為替介入の五つがある。例えば,景気を立て直そうとする場合に,景気調整と資源配分を組み合わせた財政政策が行われるが,これをポリシー・ミックスという。

2.資源配分機能とは,電気,ガスなどの純粋公共財や,交通機関,通信回線などの公共サービスを政府が財政資金を用いて供給することをいう。例えば,政府は,電力会社や鉄道会社などに対して補助金を交付することで,全国一律の料金で同等のサービスが受けられるようにしている。

3.所得再分配機能とは,資本主義経済では所得格差が発生するため,税制度や社会保障制度を通じて所得の均一化を図ることをいう。例えば,所得の多い人ほど一般に消費性向が高く,消費税による税負担の割合が重くなるという累進課税がこの機能の一つである。

4.自動安定化装置(ビルト・イン・スタビライザー)とは,自動的に税収が増減したり,社会保障費が増減したりする機能である。例えば,景気の拡大期には,所得の増加に伴って個人消費が伸び,消費税による税収が増えることで積極的な財政政策を行わせ,景気を更に拡大させる。

5.裁量的財政政策(フィスカル・ポリシー)とは,政府が公共支出や課税の増減を行うことで,有効需要を適切に保ち,景気循環の振幅を小さくして経済を安定させる政策である。例えば,不景気のときには,減税をしたり国債の発行によって公共事業を増やしたりする。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが、財政とは「国家や地方自治体が収入・支出をする経済行為」です。別に「単独で」と決まっているわけではないです。また、主体は「国」だけでもありません。さらに、「ポリシー・ミックス」とは、複数の目的を達成するために、財政政策、金融政策などを同時に適用することです。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、資源配分機能とは、市場のシステムでは適正に供給されないものを供給する機能です。具体的には、道路や治安維持、教育、医療といった資源の配分機能のことです。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、消費税は逆進性の課税です。所得税における累進課税が例としては適切です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、財政自体に備わっている、景気変動を自動的に調節する機能のことです。景気がよくなれば所得の増大により税収も増え,財政が黒字となり景気過熱を抑制し、不景気時は,税収が減り,社会保障費の支払いが増え、財政が赤字となり景気を支えるという仕組みのことです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

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