問 題
共有結合でできた物質に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1．塩化水素は，黄緑色で無臭の有毒な気体で，空気よりも軽く，水に非常によく溶ける。2 個の原子が直線状に結合しており，極性を互いに打ち消し合っている。
2．ベンゼンは，無色で特有のにおいを持つ液体であり，水に溶けにくい。6 個の炭素原子が環状となった正六角形の構造をしており，化学工業製品の原料として利用される。
3．ヨウ素は，無色の液体で，水に溶けやすく，温めると昇華する。ヨウ素の分子は，分子間力が他の共有結合より強いため，固体になると体積が増える。
4．黒鉛は，炭素原子の 4 個の価電子が他の炭素原子と共有結合して正四面体形の立体的な構造を作っており，硬くてもろい。価電子が自由に動くため電気を導く。
5．ポリエチレンは，分子中に二重結合を持つ高分子化合物であり，炭素，酸素，水素が共有結合している。フリース衣料やペットボトルなどに利用される。
解 説
選択肢 1 ですが
塩化水素（HCl) は、無色刺激臭、空気より重く、水によく溶けます。Cl 原子の電気陰性度（電子を引きつける力を表すパラメータ）が大きいため、各原子が電気的な偏りである極性を有します。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
ベンゼンについての記述です。
選択肢 3 ですが
ヨウ素（I2) は、常温常圧で 黒紫色の固体です。分子間力が小さく、熱すると固体からいきなり気体に変化する 昇華 が特徴です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
炭素原子の４個の価電子が、他の炭素原子と共有結合して正四面体の立体的な構造をとる代表的な物質は「ダイヤモンド」です。一方、黒鉛は炭素原子が共有結合して「六角形平面構造」をとります。そして、平面同士が弱い分子間力で結合します。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
ポリエチレンは、エチレン (C2H2) が重合した高分子化合物です。炭素と水素のみからなります。酸素は含みません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
コメント