公務員試験 H30年 国家一般職(化学) No.43解説

 問 題     

2 成分系の単蒸留に関する次の記述の ㋐,㋑ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「最初の仕込み缶液量を L〔1 mol〕,液中の低沸点成分のモル分率を x1 とする。この 2 成分系混合物の蒸留が終了した時の缶液量を L〔2 mol〕,液中の低沸点成分のモル分率を x2 とする。このとき得られた留出液の低沸点成分の平均組成 xD は,物質収支から,xD = ㋐と表される。

次に,缶液量と缶液組成の関係について考える。缶液量がL〔mol〕,液中の低沸点成分のモル分率がx であるとき,缶内で発生する蒸気中の低沸点成分のモル分率をy とする。蒸留の進行により,缶液がdL〔mol〕減少し,これに伴って液組成,蒸気組成が,それぞれdx,dy だけ減少したとする。このときの低沸点成分についての物質収支式を変形し,蒸留開始時(L1,x1)から蒸留終了時(L2,x2)までの範囲で積分すると

という式が得られる。」

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

【㋐について、選択肢を活用した解法】
L2 = 0 とします。缶液が全部蒸発して、留出液になり、変化ないはずです。L2 = 0を代入して、もとの x1 になる選択肢 は 1~3 です。㋐は (L1x1 ー L2x2)/(L1ーL2) とわかります。

【㋐について、物質収支を考えた解法】
留出液中の低沸点成分の量は、「缶液中の低沸点成分の減少量」です。缶液の減少量は L1x1 ー L2x2 です。求めたいのは、平均組成なので「留出液全体の量」で割ればよいと考えられます。留出液全体の量は、缶液の減少量なので L1ーL2 です。㋐ は、(L1x1 ー L2x2)/(L1ーL2) です。正解は 1~3 です。

【㋑について】
蒸留の進行前の缶液中の 低沸点成分の量 = Lx です。そして、蒸留が進行すると「缶から少し減少」し、「蒸気中に少し増加」 します。少し減少した後の缶液中の低沸点成分の量は「 (LーdL)(xーdx)」・・・(1) 少し増加した蒸気中の低沸点成分の量は 「dL(yーdy)」・・・(2)。物質収支より(1)+(2)= Lx が成立します。dL × dx は二次の微小量なので省略します。計算すると、dL/L = dx/(y-x) です。

以上より、正解は 3 です。

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