公務員試験 H30年 国家一般職(化学) No.23解説

 問 題     

コバルト Co(原子番号27)に関する次の記述の㋐~㋓に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「気体の Co3+ イオンでは,3d 軌道に ㋐個の電子が収容され,㋑ 個の不対電子が存在するので,Co3+ は常磁性を示す。一方,正八面体構造のコバルト(Ⅲ)錯体[Co(NH363+ の中心金属イオンでは,3d 軌道のエネルギー準位の配位子場による分裂が ㋒,この錯体は反磁性を示す。このような錯体は ㋓ と呼ばれる。」

㋐ ㋑ ㋒ ㋓
1. 4 4 大きく 低スピン錯体
2. 4 4 小さく 高スピン錯体
3. 5   5 小さく 高スピン錯体
4. 6   4 大きく 低スピン錯体
5. 6   4 小さく 低スピン錯体

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

4s までで電子 20 個うまって、次が 3d 軌道を電子が埋めていきます。コバルトの原子番号が 27 なので、3+ のイオンなら電子を 3 つ失っています。総電子数は 24 です。大外の 4s から電子は失われるため、Co3+ イオンの 3d 軌道には、6 個電子が収容されています。

3d 軌道には、5つの軌道が存在します。5つの軌道にできるだけバラけて同方向に(Hunt則)占有するため、4 個の不対電子が、同スピン方向で存在します。従って、常磁性を示します。※ d軌道の電子 ⇅、↑、 ↑、 ↑、 ↑

一方錯体では、d 軌道が 2 つと 3 つに分裂します(配位子場理論)。そして分裂が「大きい」ため、「電子対を作ってでも、エネルギーが低い軌道に入ろう」とします。そして不対電子が少ない「低スピン」配置をとります。

以上より、正解は 4 です。

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