問 題
各国の近年の情勢等に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.米国では,2016 年の大統領選挙で,「米国第一主義」を掲げた共和党のトランプ候補が,民主党のクリントン候補に勝利した。2017 年の就任以降,トランプ大統領は環太平洋パートナーシップ(TPP)協定からの離脱を指示する覚書や医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しに関する大統領令に署名するなどした。
2.英国では,テロ事件がロンドンオリンピック競技大会以降多発していたが,メイ首相が緊急事態宣言を発出し,テロ対策を強化した結果,2017 年はテロ事件が発生しなかった。メイ首相は,テロ対策の功績や欧州連合(EU)離脱に向けた交渉の推進により,多数の国民から支持を受けており,これらを背景に実施された総選挙では,与党保守党が単独過半数を維持した。
3.フランスでは,オランド大統領が,企業の競争力強化を目的とした労働法の改正によって国民の支持を失い,2017 年の大統領選挙への不出馬を表明した。そのため,オランド大統領に代わって出馬した社会党のマクロン候補が,反EU,反移民の姿勢を明確に打ち出した。マクロン候補は,親EU の姿勢を明確にした他の候補者に勝利し,大統領に就任した。
4.ドイツでは,メルケル首相が,大量に流入する難民に対し,受入れ上限を設けたことで国民の支持を受け,2017 年のドイツ連邦議会選挙において,与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が単独で過半数を獲得した。一方,人道的理由から難民の保護を訴えるドイツのための選択肢(AfD)は保持していた議席を失った。
5.中国では,2017 年, 5 年に1 度の全国人民代表大会(全人代)が開催され,習近平国家主席が再任されるとともに,新たに李克強氏が国務院総理(首相)に指名された。同大会では,習近平国家主席が,農業,工業,国防,科学技術において現代化を図る「四つの現代化」を提起し,これが中国共産党の最高規則に盛り込まれた。
解 説
選択肢 1 は、妥当な記述です。
選択肢 2 ですが、2017年はテロが複数発生しています。また、総選挙で過半数に満たなかったです。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが、マクロン大統領の政党は、自身が旗揚げした「共和国前進」です。「社会党の」ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが、メルケル首相の与党は単独過半数は穫れていません。また、AfDは、難民「排斥」を訴える政党です。議席を伸ばしています。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが、李克強も国務院総理再任です。また「四つの現代化」は 20C 終わりの政策を表す用語です。「四つの全面」との混同を狙ったものと思われます。
以上より、正解は 1 です。
コメント