公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.53解説

 問 題     

宗教社会学に関する記述ア,イ,ウのうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.K.マルクスは,アボリジニー社会におけるトーテミズムを分析し,宗教には,集合的沸騰によって,「聖なるもの」と「俗なるもの」を一体化させる側面があるとした。また,彼は,儀礼を祝祭などの積極的儀礼と禁忌などの消極的儀礼に分け,前者には人々を連帯させる機能がある一方,後者には人々の連帯を阻害する逆機能があると指摘した。

イ.M.ヴェーバーは,西欧に成立した近代社会においては,合理化が進む一方で,呪術的な思考を持つ人々も存在し続けるとし,合理化と呪術化の二極化が進んでいくと指摘した。また,彼は,近代化の進展によって新興宗教が発展しにくくなる一方で,伝統的な宗教は影響力を保ち続けるとした。

ウ.É.デュルケムは,『自殺論』において,宗教生活と自殺との関係について統計を用いて分析した。彼は,カトリックとプロテスタントの自殺率を比較した結果,前者よりも後者の方が自殺率が高いことを明らかにし,それは,後者は信者が聖書を自由に解釈することを認めていることから,集団の統合度が弱まるためであるとした。

1.ア
2.イ
3.ウ
4.ア,イ
5.イ,ウ

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

記述 ア ですが
デュルケームの「宗教生活の原初形態」についてです。K.マルクスではありません。マルクスは唯物史観を確立した哲学者、経済学者です。記述 ア は誤りです。

記述 イ ですが
ヴェーバーは、近代を「脱魔術化」された時代、つまり合理主義の時代であると主張しました。「近代社会において、合理化と呪術化の二極化が進んでいく」と指摘したわけではありません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ は妥当です。
デュルケムの「自殺論」についてです。

以上より、正解は 3 です。

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