公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.33解説

 問 題     

次は,隠れたカリキュラムに関する記述であるが,A,B,Cに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「隠れたカリキュラム」の存在を指摘し,それらを具体的に取り出していく出発点になったのが, A の研究である。彼は,学校のエスノグラフィックな研究の中で,生徒が学校で適応していくためには教科内容の3Rs(reading, writing, arithmetic)だけではなく,別の3Rs が必要であることに注目した。すなわち,規制(regulations),規則(rules),慣例(routines)の三つである。

そして,この 3Rs を柱とした学校生活を特徴付ける三つの要素として群集, B , C の三つが指摘されている。教室で生活していくためには,同年齢,同地位の生徒たち(群集)の一員として対応できるような態度を学習することが必要である。そのためにはまた,非個人的な権威が支配し,よく知らない他者(教師)が指示しパワーを持っているような世界で生活していくことを学習することも必要とされるであろう。そうした学校生活を支配する機構にうまく生徒が対処できるようになるためには,教師の指示に従い,順番を待ち,与えられた課題に集中するといった「忍耐」
が重要となる。

学校で成功するためにはさらに,より積極的にB を獲得するための戦略や要領,対人交渉能力,シンボル操作能力が求められることになろう。彼は,このように伝達されるべき内容として明示化されたカリキュラムそのものではないが,それに付随し教授=学習過程を文脈付ける 3Rs を「隠れたカリキュラム」と呼んだのである。

  A  B  C
1.P. W. ジャクソン 賞賛  権力
2.P. W. ジャクソン 学力  権力
3.P. W. ジャクソン 学力  統制
4.M. ヤング    賞賛  統制
5.M. ヤング    学力  権力

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

「隠れたカリキュラム」とは、教育する側が意図する、しないに関わらず、学校生活を営むなかで、児童生徒自らが学びとっていく全ての事柄のことです。

A ですが
「隠れたカリキュラム」という表現は、フィリップ・W・ジャクソン が、初めて自分の造語として使ったといわれています。A は P.W.ジャクソンです。M.ヤングは、「能力」に基づく社会的地位への選抜・配分を基本原理とする「メリトクラシー」を造語した人です。(H29no34)。

記述 B,C ですが
3Rs は「教科内容とは別」とあり、3Rs を柱とした 3 つの要素とあるため「学力」ではないと判断できるのではないでしょうか。選択肢より B は「賞賛」、C は「権力」と考えられます。

以上より、正解は 1 です。

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