公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.34解説

 問 題     

M.ヤングが提唱したメリトクラシーに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.学校が,児童生徒に対してそれぞれの出身階級に見合ったパーソナリティ特性を教え,その階級にとってメリットとなる価値観に基づいて選抜を行うことをいう。学校においては,支配者階級の出身者には自律的であることを,労働者階級の出身者には従順であることを良しとする価値観が伝えられる。

2.教育の世界に市場主義を導入することで教育達成を高めるという考え方のことである。教育の市場化は,教育サービスを購入する親に大きな選択権を与えることとなり,個人の学歴や学習の成果等が親の経済力や願望に依存して決まるため,文化資本を備えた家庭の子供にとってメリットとなる。

3.個人のメリットに応じて仕事や報酬,社会的地位が決まるシステムのことで,メリットの違いによる不平等を容認し,メリットの高い人が優遇される社会のことをいう。メリットが正確に測定され,何世代にもわたって行われるようになると,階級間で知的能力の格差が広がっていく。

4.社会全体で高学歴化が急激に進行すると,高学歴者の数が,労働市場が必要とする高学歴者の数に対して過剰となり,相対的に学歴から得られるメリットは低下する。そのため,学歴と社会的地位とが見合わない状況が生じ,社会的地位を得るにはかつてより高い学歴が必要とされる一
連のメカニズムのことをいう。

5.家庭で身に付けた階級文化が,学校での成功のチャンスを左右し,学校が文化を通じた階級の再生産に寄与することをいう。学校においては,社会で正統的とされる文化資本が継承され,同じ文化的特徴を持つ階級にとってメリットとなる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

M.ヤングは、「能力」に基づく社会的地位への選抜・配分を基本原理とする「メリトクラシー」を造語した人です。(H26no33)

選択肢 1 ですが
「出身階級に見合った・・・特性を教え」という点が明らかに誤りです。「能力」に基づく原理がメリトクラシーです。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「市場主義を導入」という点から違うと判断できるのではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
この文脈における「メリット」とは「業績、功績」と訳されます。

選択肢 4 ですが
高学歴化、教育過剰といった内容と考えられます。メリトクラシーについてではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
文化的再生産についての記述です。メリトクラシーについてではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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