公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.22解説

 問 題     

運動知覚に関する記述A〜Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.暗室内で一つの光点を呈示すると,点灯時には中心から周辺部への光の拡大が知覚され,消灯時には周辺部から中心への縮小が知覚されるように,視野全体や特定の領域の急激な輝度の変化に伴って膨張・収縮して見える運動を,ガンマ運動という。

B.流れている雲間にある月が,実際には静止しているにもかかわらず雲と反対方向に動いているように見えるように,「取り囲むもの」と「取り囲まれるもの」の関係が成立するとき,前者が後者の視覚的空間枠組みとなり,後者に知覚される運動を運動残効という。

C.完全暗室内で呈示された複数の静止光点をしばらく観察すると,実際には静止しているにもかかわらず,光点が規則的に動いて見える運動を自動運動という。この運動は,被暗示性が高く,運動の知覚のされやすさに個人差があることから,同調行動に関する実験にも用いられた。

D.二つの対象を適切な時間間隔をおいて,異なる二地点に交互に呈示するときに知覚される対象の運動をベータ運動という。これは,日常場面において,映画やテレビ,ネオンサインなどで観察される。

1.A,C
2.A,D
3.B,C
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 A は妥当です。
実際には静止状態にありながら、そこに運動が認められる場合、仮現運動といいます。仮現運動における「ガンマ運動」についての記述です。

記述 B ですが
運動残効は、一定方向に運動する対象をしばらく凝視し、のちに静止した対象を見ると、最初に見続けたものの動きと反対に動くように見える現象のことです。記述は「誘導運動」と呼ばれます。記述 B は誤りです。

記述 C ですが
自動運動は、暗室内で呈示された静止光点をしばらく観察すると、静止しているにも関わらず不規則に動いて見える現象」です。「規則的に」ではありません。同調行動に関する実験にも用いられたという部分は妥当です。シェリフの光点の自動運動に関する実験です。(参考 H29no27)。記述 C は誤りです。

記述 D は妥当です。
仮現運動における「ベータ運動」についての記述です。

以上より、正解は 2 です。

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