公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.4解説

 問 題     

動機づけに関する記述A〜Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.ウィンターボトム(Winterbottom, M. R.)は,達成動機の高い子供の母親は,要求的しつけよりも制限的しつけをしていることを明らかにした。彼女は,その理由を,制限的しつけによって子供の目標に挑戦する意欲が高められるとともに,子供がその目標の価値を高く知覚するようになるためであると考えた。

B.他の人に近づき,好意を交わし,友好的関係を取り結び,それを維持しようとする動機を親和動機という。親和動機と達成動機について,米国での研究では両者の間に負の相関が認められることが多いが,日本での研究では必ずしも負の相関は認められず,むしろ正の相関が認められることもある。

C.ハル(Hull, C. L.)は,生体内に生じた不均衡を解消するために要求及び動因が生起し,それに導かれた行動によって要求及び動因が低減されることが,当該行動を強化するための最も大きな要因であるとした。この考え方は,摂食,飲水,睡眠といった生体の維持に直結する二次的動機に基づいた行動の生起によく合致するものである。

D.行動それ自体を目的とする行動や当の行動以外には明白な報酬が全く存在しない行動を支える動機づけを内発的動機づけという。内発的動機づけを高める要因として,自己の行動を自分自身で決定しているという認識である自己決定性や,個人の持つ知識構造と取り入れられた情報との間の適度なずれなどがある。一方,内発的動機づけを低下させる要因として外的報酬が考えられる。

1.A,B
2.A,C
3.A,D
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
制限的しつけ「よりも」要求的しつけ です。ウィンターボトムは、幼児期から児童期において、要求的しつけ(~しましょうね)が、制限的しつけ(~してはいけません)より、達成動機を高めることを明らかにしました。記述 A は誤りです。

記述 B は妥当です。
親和動機と達成動機についての記述です。

記述 C ですが
「生体の維持に直結する」のは「一次的動機」です。「二次的動機」の例は、お金などを得たい「獲得欲求」などです。記述 C は誤りです。

記述 D は妥当です。
内発的動機づけについての記述です。

以上より、正解は 4 です。

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