公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.70解説

 問 題     

カリキュラム理論に関する記述 ア〜エ のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.J.S.ブルーナーは,ウッズホール会議の成果を『教育の過程』にまとめた。彼は,「どの教科でも,知的性格をそのままに保って,どの発達段階の子供にも効果的に教えることができる」という仮説を示した。

イ.R.W.タイラーは,カリキュラムの開発の段階を,① 一般的な目標,② 創造的教授・学習活動,③ 記述,④ 一般的目標に照らした判断評価とし,このアプローチを「羅生門的アプローチ」と呼んだ。その特徴は,認識における相対主義の立場を表明している点にある。

ウ.M.W.アップルは,学校は,カリキュラムを編成する過程において,文化・知識の選択・構成に積極的に関与し,「優先的知識」や「公的な知識」を抽出するとした。彼は,それらの知識を子供たちに一方的に伝達する教育を「銀行型教育」と名付けて批判した。

エ.B.S.ブルームは,教育目標を階層構造で捉える「教育目標の分類学(タキソノミー)」を示した上で,教育目標を達成するための学習方法として,「オペラント条件付け」,「スモール・ステップ」,「即時フィードバック」の三つの原理を応用したプログラム学習を提唱した。

1.ア
2.エ
3.ア,イ
4.イ,ウ
5.ウ,エ

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
ブルーナーはらせん型カリキュラムの提唱者です。(H26no70)。学習者の理解レベルに合わせた形で繰り返し学習させていくカリキュラムです。

記述 イ ですが
「羅生門的アプローチ」を提唱したのは、アトキンです。タイラーではありません。羅生門的アプローチの段階についての記述は妥当です。工学的アプローチと対比されるアプローチです。工学的アプローチの代表的提唱者がタイラーです。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
アップルは、学校教育カリキュラムには、社会の権力が作用し、権力集団の知識が公的かつ中立として再生産されるという構造を指摘した、批判的教育学の代表的論者です。銀行型教育と名付けて批判したのは、パウロ・フレイレです。記述 ウ は誤りです。

記述 エ ですが
ブルームが提唱したのは完全習得学習モデルです。診断的評価→形成的評価→総合評価の順で評価を行い、形成的評価が特に重要とされます。(参考 法務省専門職  H26no40)。

以上より、正解は 1 です。

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