公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.69解説

 問 題     

我が国における社会教育や生涯学習に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.社会教育法において,社会教育は,学校の教育課程として行われる教育活動を含め,主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動とされている。また,同法において,社会教育の目標は,学校内外における社会的活動を促進し,自主,自律及び協同の精神,規範意識,公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を
養うこととされている。

2.1970 年代初頭,社会教育審議会の答申「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方について」において,生涯教育の観点の導入が必要であるとされた。その答申で別記された「期待される人間像」においては,日本人としての自覚を持った国民であること,職業の尊さを知り,勤労の徳を身に付けた社会人であること,強い意志を持った自主独立の個人であることが,生涯教育の目標として留意されるべき諸徳性であるとされた。

3.1980 年代,臨時教育審議会の答申において,「生涯学習」という表現が用いられた。これについては,学習は読書・独学など自由な意思に基づいて意欲を持って行うことが本来の姿であり,自分に合った手段や方法によって行われるというその性格から,学習者の視点から課題を検討する立場を明確にするため,「生涯教育」という用語ではなく,「生涯学習」という用語を用いたとされている。

4.1990 年代初頭に「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が施行された。同法においては,義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者が,生涯学習を通じて,社会において自立的に生きる基礎を培い,豊かな人生を送ることができるようリカレント教育を受けられる機会を保障することとされた。

5.2006 年に教育基本法が改正され,「生涯学習の理念」が新たに規定された。同法において,生涯学習の理念は,「国民一人一人は,民主的で文化的な国家を建設し,世界の平和と人類の福祉に貢献するために,その生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習し,その成果を適切に生かす必要がある」とされた。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
社会教育法によれば、「社会教育」とは、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーシヨンの活動を含む。)とされています。「学校の教育課程として行われる教育活動を含め」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
記述は中央教育審議会答申における別記についてです。この知識がなかったとしても、生涯教育に関する答申であるにも関わらず「日本人としての自覚」や「職業の尊さを知り」といったことが期待されるという点に違和感を覚えるのではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。

選択肢 4 ですが
リカレント教育は「生涯にわたり、教育と就労を交互に繰り返すことでスキルを高め続ける教育制度のこと」です。(H29no69)。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
教育基本法によれば、「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。」とあります。この条文を見たことがなくても、「民主的で文化的な国家を建設」や「世界の平和と人類の福祉に貢献するため」というのは少し目的が抽象的すぎて違うと判断できるのではないでしょうか。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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