公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.67解説

 問 題     

次は,I.イリイチの説に関する記述であるが,A,B,Cに当てはまるものの組合せとして妥当なのはどれか。

生徒は,学校で,正規の授業内容と全く無関係な事柄を,数多く学んでいく。学校は,規律訓練や団体訓練によって,イリイチが名付けた「A 」―現行の社会秩序の無批判的受容―を教え込む傾向がある。これらの学習課題は,意識的に教えられるわけではなく,学校での手続や学校組織の中に暗に示されている。B は,子供に人生における自分の役割が「自分の居場所をわきまえ,そこでおとなしくしていること」である,と教える。

イリイチは, C を唱道する。イリイチが指摘したように,義務制の学校教育は,比較的新しい発明である。したがって,義務制の学校教育を多少とも必然的な制度として容認すべき理由は,どこにも見いだせない。学校が平等や一人一人の創造的才能の発達を促進させない以上,私たちは,現行の形の学校をなぜ廃止しないのか。

イリイチは,このことで,あらゆる種類の教育組織を廃止すべきだと主張したのではない。学びたいと望む人には誰にでも―単に児童期や青年期だけでなく,人生のいつの時点でも―学習資源を入手利用できる機会を提供すべきだ,とイリイチは主張する。このようなシステムは,知識が,専門家に独占されるのではなく,広く普及し,共有されることを恐らく可能にする。学習者は,一律のカリキュラムに黙って従う必要はなくなり,何を学ぶかについて自分なりに選択できるようになる。

A B C

1.受動的消費 ラベリング     学習社会
2.受動的消費 ラベリング     社会の脱学校化
3.受動的消費 隠れたカリキュラム 社会の脱学校化
4.誇示的消費 ラベリング     学習社会
5.誇示的消費 隠れたカリキュラム 社会の脱学校化

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

記述 A ですが
A の前後に注目すると「・・・意識的に教えられるわけではなく・・・暗に示されている」とあり、内容との対応から「受動的消費」と判断できるのではないでしょうか。
記述 B ですが
記述 A と同様に前後に注目すると「暗に示されている」とあり、また、「ヒドゥンカリキュラム」という用語を聞いたことがあるかもしれません。(参考 法務省専門職 H28no40)。B は「隠れたカリキュラム」が妥当です。

記述 C ですが
イリイチは、「脱学校の社会」の著者です。(H29no67)。「社会の脱学校化」が妥当と考えられます。

以上より、正解は 3 です。

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