公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.66解説

 問 題     

西洋の教育思想に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.J.A.コメニウスは,『大教授学』において,人間の自然的本性を善とし,それが既成の社会制度によって悪へと変質させられることを防ぐための教育を行うことを提唱した。彼は,その教育の原理を「消極的教育」と呼んだ。

2.J.H.ペスタロッチは,貧児や孤児の教育を行い,その成果をまとめた『ゲルトルートはいかにその子を教えるか』で,「数・形・語」を基礎とする教授法(「メトーデ」)を提唱した。また,彼は,『白鳥の歌』において「生活が陶冶する」という教育の原則を示した。

3.R.オーエンは,紡績工場の支配人となり,労働者の子供のための教育施設である「子供の家」を設立した。彼は,「子供の家」の教育において,独自の教具による感覚の訓練,子供の自発的活動,日常生活の訓練を重視した。

4.O.ドクロリーは,障害児教育の経験に基づいて教育方法を考案した。その特徴は,子供の興味の中心となる題材を選択し,それを中心に統合的なカリキュラムを組むことにあった。彼は,シカゴ大学附属の実験学校を開設し,そこでの教育実践の報告を『学校と社会』にまとめた。

5.E.ケイは,『児童の世紀』において,「21 世紀は児童の世紀である」と宣言し,児童中心主義の教育を提唱した。彼女は,独自の「人智学」に基づいて,「フォルメン」や「オイリュトミー」などの教育方法を実践した。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
記述は ルソーについてです。コメニウスと著書「大教授学」の対応は正しいです。コメニウスは「近代教育学の祖」と呼ばれ、世界図絵を著しました。消極鉄器教育を唱えたのは、ルソーです。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
ペスタロッチに関する記述です。「隠者の夕暮れ」の著者です。教育実践者として孤児院を開いたりしました。また、直観教授法を確立したとされます。(H27no66)。

選択肢 3 ですが
オーエンが設立したのは「性格形成学院」です。「子どもの家」はモンテッソーリです。(H27no66)。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
前半の記述は妥当です。(H29no70)。後半ですが、シカゴ大学附属実験学校を開設し、「学校と社会」にまとめたのはデューイです。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
前半は妥当です。後半ですが、フォルメンやオイリュトミーは、シュタイナー教育における特徴的教育方法です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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