公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.52解説

 問 題     

第二次世界大戦後の国際機構に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.1945 年に連合国側 50 か国の代表が集まって開かれたサンフランシスコ国際会議で,国際平和を維持するための機関として設立が合意されたのが,国際連合である。また,サンフランシスコ講和条約で,国際の平和と安全に主要な責任を負う機関として位置づけられたのは,安全保障理事会である。

2.1944 年に開かれたブレトン・ウッズ国際会議で設立が合意されたのが,国際通貨基金(IMF)と国際復興開発銀行(IBRD)である。戦後の経済復興と途上国の開発,国際投資の促進を図るためのIBRD は,その後廃止され,世界銀行(WB)が設立された。

3.マーシャル・プランの受入機関として1948 年に発足した欧州経済共同体(EEC)は,その後,経済協力開発機構(OECD)に発展した。OECD は,欧州地域に限定した経済発展や開発に貢献することを目的としている。

4.国連総会は,1960 年に植民地独立付与宣言を採択した。1960 年代までに,新興独立諸国が数多く生まれ,アフリカのアフリカ統一機構(OAU),東南アジアの東南アジア諸国連合(ASEAN)に代表される新しい地域機構も生まれた。

5.地域統合の流れを主導した欧州諸国の統合は,米国との同盟関係の維持を目指した1952 年設立の欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)から始まり,1958 年設立の欧州原子力共同体(EURATOM)等の諸機構を経て,1993 年設立の欧州連合(EU)へと進展した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
サンフランシスコ講和条約は、連合国諸国と日本間で締結された平和条約です。この条約で安全保障理事会が、国際の平和と安全に主要な責任を負う機関として位置づけられたわけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
IBRD は廃止されていません。現在は世界銀行グループの一員です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
欧州経済共同体(EEC) は、EC の前身です。マーシャル・プラン受入機関として結成されたのは、ヨーロッパ経済協力機構(OEEC) です。EEC ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。

選択肢 5 ですが
「米国との同盟関係の維持を目指した」 ECSC という記述に違和感を覚えるのではないでしょうか。ECSC は、西ヨーロッパの石炭・鉄鋼共同運営組織です。独仏間の軍事的な対立回避、独自の経済基盤確保によるアメリカへの依存体質からの脱却を図ることなどが目的の組織でした。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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