公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.41解説

 問 題     

我が国の財政制度に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.会計年度独立の原則とは,ある会計年度の支出(歳出)は当該会計年度の収入(歳入)で賄わなければならないとするものである。ただし,予算の円滑かつ弾力的な執行の妨げとなる場合もあるため,歳出予算の繰越しや過年度収入及び過年度支出といった例外が認められている。

2.財政法第 4 条第1 項は,「国の歳出は,公債又は借入金以外の歳入を以て,その財源としなければならない」とする一方,同条ただし書において,公共事業費や地方交付税交付金等の財源に充てる場合には,特例法に基づき建設国債を発行することができるとしている。

3.政府関係機関とは,特別の法律によって設立された法人で,政府が資本金の 3 分の1 以上を出資している機関のことである。これらの機関は,公共の利益を目的とした事業を行っていることから,その予算は,国の予算とは異なり,国会の議決は必要としないものの,国会への報告義務が課されている。

4.暫定予算とは,いわゆる本予算の予算案が何らかの理由で年度開始までに国会の議決が得られなかった場合に,必要最小限度の経費に限り,国会の議決を経ずに内閣の閣議決定により成立する予算である。一方,本予算の内容を変更するものである補正予算は,その成立には国会の議決が必要であり,また,一会計年度につき1 回に限って組むことが認められている。

5.継続費は,工事,製造その他の事業で,完成に最低でも5 か年度を要するものについて,経費の総額及び毎年度の支出見込額を定め,あらかじめ国会の議決を経て,最大 10 か年度にわたって支出することを可能とするものであり,現在では防衛省の警備艦及び潜水艦の建造にのみ用いられている。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
会計年度独立の原則についての記述です。

選択肢 2 ですが
建設国債は、普通国債の一つです。(H29no41)。特例法に基づき発行される国債は、「特例公債」です。特例公債とは、いわゆる赤字国債です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
政府関係機関とは、特別の法律によって設立された法人で、その資本金が全額政府出資であり,予算について国会の議決を必要とする機関です。株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行を含む4機関が本試験時点で該当します。(H27no41)。「資本金の 3 分の 1 以上」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
補正予算は 1 会計年度に 2 回以上組まれることもあります。(H29no41)。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
財政法第 14 条の 2 によれば、継続費は最大 5 箇年です。ただし、予算を以て、国会の議決を経て更にその年限を延長することができます。「最大 10 箇年度」ではありません。(H27no41)。

コメント