公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.25解説

 問 題     

根抵当権に関する ア〜オ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.根抵当権者は,確定した元本については極度額を限度としてその根抵当権を行使することができ,利息や債務の不履行によって生じた損害の賠償金については,元本との合計額が極度額を超える場合にも,その根抵当権を行使することができる。

イ.根抵当権の極度額を変更する場合には,利害関係者の承諾を得る必要があるが,元本の確定前に根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更する場合には,第三者の承諾を得ることを要しない。

ウ.根抵当権の担保すべき元本が確定する期日は,当事者間の合意により何年先であっても自由に設定及び変更することができるが,期日の変更について,変更前の期日より前に登記をしなかったときは,担保すべき元本はその変更前の期日に確定する。

エ.根抵当権の元本の確定前に債務者の保証人が債務者に代わって弁済をした場合には,保証人は根抵当権を行使することができない。

オ.元本の確定前に根抵当権者が死亡した場合,根抵当権の被担保債権の範囲は,相続開始の時に存する債権をもって自動的に確定する。

1.ア,ウ
2.ア,オ
3.イ,エ
4.イ,オ
5.ウ,エ

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

記述 ア ですが
利息や損害賠償金があっても、極度額の範囲が限度です。民法第 398 条の 三 です。記述 ア は誤りです。

記述 イ は妥当です。
前半部分について、根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができません。民法 第 398 条の五です。(H26no25 ウ)。また、後半部分について、根抵当権者は、元本の確定前において、根抵当権の被担保債権の範囲を変更することができます。変更の際、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しません。民法 第 398 条の 四 の通りです。

記述 ウ ですが
根抵当権の担保元本確定期日を変更する場合は、新しい期日は、定めた日から 5 年以来に到来するものでなければなりません。前半部分が妥当ではありません。後半部分は妥当な記述です。民法 第 398 条の 六 です。

記述 エ は妥当です。
民法 第 398 条の 七 但し書きの内容です。

記述 オ ですが
元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保 します。この合意について、相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなします。民法 第 398 条の八 です。

以上より、正解は 3 です。

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