公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.10解説

 問 題     

公務員制度に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.我が国の公務員は,国家公務員と地方公務員に分類され,現在,両者の数は拮抗している。また,国家公務員は一般職と特別職に分類されるが,一般職国家公務員の数は,平成12(2000)年以降,国立大学法人化や郵政民営化等を経て,現在は平成12 年の時の7 割程度まで減っている。

2.政治的中立性は,公務員制度の基本原理の一つであり,日本国憲法においても,全て公務員は全体の奉仕者であると定められている。政治的中立性を担保するためには,政治家が公務員をコントロールする民主的統制の強化が必要であり,我が国では,各府省の事務次官,局長など特に高い政治的中立性が求められる職には,資格任用ではなく,政治任用が行われている。

3.公務員の任用については,閉鎖型任用制と開放型任用制が挙げられる。1920 年代の米国で形成されてきた公務員制度は,資格任用制を基本にした閉鎖型任用制であったのに対し,第二次世界大戦後の我が国の公務員制度では,科学的人事行政論に基づく職階制が実施され,現在に至る開放型任用制が確立された。

4.J.D.アバーバックらは,政策形成過程における政治家と官僚の関係を4 類型に分類した。彼らは,政治家が政策の立案,官僚が政策の実施という別の役割を担う状態(イメージⅠ)から,次第に両者の区別がつかなくなる状態(イメージⅣ)に至る道筋を示し,多くの国では,官僚が利益の調整まで担う状態(イメージⅢ)が実際には現実を描いているとした。

5.我が国では,平成19(2007)年の国家公務員法改正により,人事評価制度の見直しが行われた。管理職員については,成果が求められることから,能力評価をやめて年2 回の業績評価に一本化する一方,一般の職員については,育成等への活用を重視し,年1 回の能力評価のみを実施することとされた。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
我が国の公務員は、国家公務員が 60 万弱、地方公務員が 300 万弱とおぼえておくと良いです。両者の数は、地方公務員が多いです。「両者の数は拮抗している」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「公務員の政治的中立性を担保」するために、「政治家が公務員をコントロール」するという文章は矛盾していると判断できるのではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
閉鎖型任用制
は、新卒採用原則です。日本などの制度です。開放型任用制は、職務を明確に区分し、即戦力を様々な方法で採用します。我が国の公務員制度は「開放型」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
アバーバックらの、政治家と官僚の関係の分類についての記述です。

選択肢 5 ですが
「能力評価をやめて」という点に違和感を覚えるのではないでしょうか。改正法のポイントは「能力・実績主義の人事管理の徹底」です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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