公務員試験 H30年 国家一般職(電気・電子・情報) No.36解説

 問 題     

トランザクションを処理するシステムがある。トランザクションは 1 秒当たり平均 3 件発生し、システムは 1 件当たり平均 0. 2 秒でトランザクションを処理するとき、このシステムの平均応答時間はおよそいくらか。

ただし、トランザクションの発生及び処理は、M/M/1 待ち行列モデルに従うものとする。なお、M/M/1 待ち行列モデルにおいて、平均滞留件数L(処理中又は処理を待っているトランザクションの数の平均)は、利用率(トランザクションが処理中である時間の割合)を ρ としたとき、L = ρ/1-ρと表せる。また、平均応答時間とは、トランザクションが発生してから、そのトランザクションの処理が終わるまでに掛かる時間の平均である。

1.  0. 4 秒
2.  0. 5 秒
3.  0. 6 秒
4.  0. 7 秒
5.  0. 8 秒

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

トランザクションとは「取引」と訳されます。情報処理では「一連の処理をひとまとめにしたもの」です。銀行口座振込における「A 口座からの預金データ減少と、B 口座の預金データ増加」という2つの処理を1まとめにしたトランザクションが代表例です。

トランザクションが処理中である時間の割合は 1 秒当たり平均 3 件のトランザクションを、1件当たり平均 0.2 秒で処理しているため、1 秒のうち 0.6 秒と考えられます。つまり ρ = 0.6 です。これを問題文に与えられた式に代入すれば、平均滞留件数 L = 0.6/0.4 = 3/2 です。

これをふまえ、ある程度時間が経ち、「すでに 3/2 トランザクションが未処理で滞留している」時に、「新たなトランザクションが発生」したと考えます。「この時、この新たなトランザクション処理が終わるまで平均どのくらい時間がかかるか、という問」です。

具体的なイメージとしては、1 台の ATM に人が 1.5 人並んでいて、次に自分が並んだという感じです。そして自分の現金引き出しが終わるまで平均どのくらい時間がかかるか?といった問となります。イメージがわくと考えやすいのではないでしょうか。

平均滞留が 1.5 トランザクションあって、これの処理には 1件平均 0.2 秒なので、1.5 × 0.2 = 0.3 秒かかります。それに加えて 自分の分の処理が 0.2 秒 さらにかかります。0.3 + 0.2 = 0.5 です。

以上より、正解は 2 です。
類題H28no36

コメント