公務員試験 H29年 国家専門職(食品衛生監視員) No.2食品化学Ⅲ解説

 問 題     

⑴ 食品の保存法の一つにくん煙があるが,その方法,特徴及び保存効果について, 5 行程度で説明せよ。ただし,くん煙に用いられる煙に含まれる殺菌効果をもつ成分についても言及すること。

⑵ 次の有害成分を含む食品や主な毒性等について,それぞれ 2 行程度で説明せよ。
① レクチン
② トリプシンインヒビター
③ ムスカリン

 

 

 

 

 

 解 説     

解答例)
(1)
くん煙とは、香りの良い木材を高温に熱した時に出る煙を食材に当て、風味付けと同時に、煙に含まれる殺菌・防腐成分を食材に浸透させる食品加工技法です。保存性を高めると共に、特有の風味付けを行う点が特徴です。木材を完全燃焼すると、CO2 と H2O となり、煙があまり出ないので、不完全燃焼環境を作ります。煙中にホルムアルデヒドやフェノールが発生し、微生物表面のタンパク質を変性させることにより死滅させます。
類題 H24No6Ⅰ(3)

(2)
レクチン・・・レクチンとは、細胞膜表面の糖鎖に結合し、細胞凝集等を引き起こす物質の総称です。代表例は、ナタマメに含まれるコンカナバリンA です。多量に摂取すると、下痢・腹痛等を引き起こします。

トリプシンインヒビターは、トリプシンを不活化させる物質の総称です。ダイズ種子中等に含まれます。摂食により消化不良や下痢が引きおこされます。

ムスカリンは、キノコ類(ベニテングタケなど)に含まれるアルカロイド(植物中の窒素含有塩基性化合物の総称)の一種です。副交感神経系の興奮作用により、発汗、流涎、流涙等を引き起こします。
類題 H26No4Ⅰ(1)

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