問 題
宇宙に関する近年の科学技術の記述として最も妥当なのはどれか。
1.アルマ望遠鏡は,標高4,200 m のハワイ島マウナケア山頂にある望遠鏡であり,可視光しか観測できないハッブル宇宙望遠鏡とは異なり,赤外線も観測することができる。アルマ望遠鏡では,ニュートリノと呼ばれる放射性元素などの観測も行われ,原始銀河の形成や,惑星系の誕生などについて,解明が進められている。
2.国際宇宙ステーション(ISS)は,地上から約5,000 km 上空に建設された巨大な有人実験施設であり,米国,ロシア,日本の3 か国による国際協力プロジェクトである。我が国は,「きぼう」日本実験棟及び宇宙ステーション補給機「はやぶさ2 」を通じて,ISS の運用に協力しているが,ISS は,2020 年を目途に運用を終了することが予定されている。
3.準天頂衛星システムは,全地球測位システム(GPS)に代わる新たな衛星測位システムであり,スマートフォンやカーナビゲーションなどの発する電波を受信し,位置情報をフィードバックしている。準天頂衛星「みちびき」は,現在6 機が運用されているが,安定した高精度測位を行うため,2018 年には, 8 機体制とし,GPS 衛星は運用を終了することが予定されている。
4.2016 年,アメリカ航空宇宙局(NASA)の探査機ニューホライズンズが,木星の衛星エウロパに接近し,エウロパの表面から水が噴き上がる現象を観測した。エウロパは,太陽系の衛星の中で最大であり,また,表面は多数のクレーターに覆われている。NASA には,2020 年代に再びエウロパに探査機を送り,生命の存在の可能性を調べる計画がある。
5.重力波の存在はアインシュタインによって予言され,これまでは間接的な証拠のみが見付かっていたが,2015 年,二つのブラックホールの合体によって発せられた重力波が米国の重力波望遠鏡によって検出された。我が国では,超高感度の重力波検出器を建設し,観測を行う大型低温重力波望遠鏡KAGRA プロジェクトが進められている。
解 説
選択肢 1 ですが、アルマ望遠鏡は、チリ・アタカマ砂漠に建設された大型電波干渉計です。よって、選択肢 1 は誤りです。「ああ、憧れのALMA 計画」という記事(外部リンク、ほぼ日の記事)に目を通すとイメージが広がると思います。
選択肢 2 ですが、ISS は、地上約 400km 上空を、90 分で1週している施設です。5,000km ではありません。また、はやぶさシリーズは、小惑星探査機です。実験棟及び補給機は「きぼう」です。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが、準天頂衛星システムは、GPS を補充するシステムです。GPS 運用終了ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 4 ですが、エウロパ表面の現象は、探査機「ガリレオ」によるデータから観測されました。ニューホライズンズではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、妥当な記述です。鏡の分子の熱運動も誤差になるほどの桁の話なので、大型かつ低温です。
以上より、正解は 5 です。
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