公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.30解説

 問 題     

昆虫の利用に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.害虫の捕食者や捕食寄生者である昆虫を農薬のように施用して防除効果を発揮する方法がある。施設野菜の害虫であるマメハモグリバエには天敵のオンシツツヤコバチが,カンキツの害虫であるイセリアカイガラムシには天敵のヤノネキイロコバチが防除に用いられる。

2.養蜂は,蜂蜜を得るためにミツバチを飼育する産業である。蜂蜜以外には,ロイヤルゼリー,蜜蝋ワックスなどが得られ,これらは全て植物の生産物をミツバチが収集したものである。我が国における商業的な養蜂では,その大部分でニホンミツバチが用いられている。

3.養蚕は,カイコが生産する繭から絹を得て利用する産業である。我が国に伝わったのは明治時代で,国の重要産物として我が国の近代化に大きく貢献した。1930 年に我が国の繭生産量は世界全体の約6 割を占め,現在も同等のシェアを保っている。

4.カイコに特殊な人工飼料を与えることによる動物用医薬品のインターフェロンの製造など,昆虫機能を活用した有用物質生産が実用化されている。また,カイコの絹タンパク質のフィブロインとカゼインを利用した工業分野,医療分野の素材開発が試みられている。

5.東南アジア地域を中心に,カイガラムシ類の生産物が各種材料として生産され,世界的に利用されている。例えば,ラックカイガラムシの生産物からは樹脂塗料や食品コーティング剤が作られている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ハモグリバエ類の天敵はイサエアヒメコバチ(®ヒメトップ)です。イセリアカイガラムシの天敵はベダリアテントウです。よって、選択肢 1 は誤りです。類題)H26no28

選択肢 2 ですが
養蜂に用いられるのはセイヨウミツバチです。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
これは常識的に考えて判断できるのではないでしょうか。養蚕、繊維産業は、全盛期からかなり生産量が落ち、現在では日本は生糸輸入国です。よって「世界の約 6 割を占め、現在も同等のシェア」は明らかに誤りと考えられます。

選択肢 4 ですが
カイコの絹タンパク質は「セリシン」と「フィブロイン」です。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より、1~4誤りなので、正解は 5 です。

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