公務員試験 H26年 国家一般職(農学) No.28解説

 問 題     

害虫管理に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 殺虫剤はその作用機構から、消化中毒剤、接触剤、くん蒸剤、浸透性殺虫剤などに分類される。このうち消化中毒剤は、薬剤が食害時に害虫の口器を経て消化管の中に入ることにより作用し,接触剤は薬剤が皮膚(体壁)を通して害虫の体内に入ることにより作用する。

2. 性フェロモンを利用した防除法には交信撹乱法と大量誘殺法があり交信撹乱法は合成性フェロモンを用いて交尾行動を阻害し交尾率を低下させる。大量誘殺法は雌成虫を大量に誘殺することで交尾率を下げ害虫を防除する方法であり交信撹乱法より成功例が多い。

3. アブラムシは一般に黄色系色調に誘引されよく飛来するが逆に青色のマルチを忌避して飛来数が少なくなりマルチ栽培の作物への加害を軽減することができる。この青色のマルチングは野菜の重要害虫であるミナミキイロアザミウマ成虫にも有効である。

4. 紫外線カットフィルムのハウス被覆材への使用は薬剤防除の困難なミナミキイロアザミウマの生息密度を低下させる効果がある。同資材の使用は受粉昆虫であるミツバチの飛翔には影響がないがナス栽培では紫外線が不足して空洞果になりやすいため注意を要する。

5. 天敵資材としてマメハモグリバエにナミヒメカメムシ剤アザミウマ類にベダリアテントウ剤などが登録されている。これらのような天敵昆虫以外にもウイルス細菌菌類(糸状菌)などの天敵微生物も天敵資材として利用されている。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は、妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
大量誘殺法は、大量に誘殺されるのですが、交尾率はそれほどさがらないことが多い方法です。交信撹乱法が、試験時点では最も一般的に用いられています。「大量誘殺法の方が成功例が多い」という記述は誤りと考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
アブラムシが忌避するのは、銀白色です。青ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
UVカットにより、ミツバチは位置が把握できなくなり、飛翔に影響がでます。また、「着色不良」になりやすくなります。空洞化しやすいのは、高温や水不足などです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
ハモグリバエ類の天敵はイサエアヒメコバチ(®ヒメトップ)です。また、アザミウマ類の天敵が、ヒメハナカメムシ類です。ちなみに、ベダリアテントウは、イセリアカイガラムシの天敵です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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