公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.26解説

 問 題     

作物の土壌病害に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.ジャガイモシストセンチュウなどの線虫類の発生が抑制される状態になった土壌は抑止土壌と呼ばれる。抑止土壌は,土壌の蛍光性Pseudomonas 属菌の密度を低下させることで得られる。

2.トマト萎ちょう病のような Pythium 属菌による病害において,抵抗性台木の活用が発展してきた。抵抗性台木は,アカザ科野菜の栽培において広く普及している。

3.抵抗性品種・台木を利用する場合,真性抵抗性と圃場抵抗性の違いに注意することが重要である。後者は環境条件によって防除効果が劣ることがある。一方,前者は環境条件に影響されず安定しているが,新レースの出現によって無効化する可能性がある。

4.土壌病原菌は,その生態的な性質から土壌生息菌と根系生息菌に分けられる。土壌生息菌にはスイカつる割れ病菌が,根系生息菌には苗立枯病菌がある。

5.土壌のpH は土壌病害の発生に影響することがある。アブラナ科の根こぶ病は,弱アルカリ性の土壌で,ジャガイモそうか病は弱酸性の土壌で,それぞれ発生が助長される。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
土壌病害の生物的防除として、シュードモナス属が知られています。密度「低下」ではなく「増加」と考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ピシウム属による病害は「腐る」ものです。萎ちょう病はフザリウム属のカビによる病害です。ちなみに「アカザ科」の代表例はホウレンソウです。台木は一般的には使われません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
苗立枯病菌も「土壌生息菌」です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
根こぶ病は「酸性」で多発します。ジャガイモそうか病は「アルカリ性」で発生が助長されます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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