公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.25解説

 問 題     

次のA~Eは,ムギ類又はイネの病徴を示す写真である。これらに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.Aは,オオムギ縞萎縮病の病徴である。本病は,ウイルス性の病害である。複数のウイルス系統があり,品種によってそれぞれに対する抵抗性が異なる。罹病した株は早春から葉に独特の病斑が現れる。症状が進むと株全体が黄化して,枯死に至る場合もある。

2.Bは,うどんこ病の病徴である。本病は,細菌によるムギ類の病害である。2 月頃から葉に病徴が現れ,気温の上昇とともに症状が進み,葉が枯れ上がり,茎や穂にまで病斑が拡大する。被害が甚大な場合には株全体が黄化して枯死に至り,収穫皆無になることもある。

3.Cは,縞葉枯病の病徴である。本病は,ツマグロヨコバイが媒介するウイルス性のイネの病害である。生育初期に発病すると分げつが抑制され,生育が衰えてやがて枯死に至る。穂では出すくみ症状がみられる。コシヒカリなどの抵抗性品種の導入による対策が進んでいる。

4.Dは,いもち病の病徴である。本病は,ヒメトビウンカが媒介するウイルス性のイネの病害である。葉を侵し,穂などが罹病することはない。低温寡照条件で発生しやすく,登熟不良を招き著しい減収につながることがある。

5.Eは,紋枯病の病徴である。本病は,菌類(糸状菌)によるイネの病害である。まず上位の葉鞘に独特の病斑が生じ,次第に株全体へ被害が進展し,減収や品質低下の要因になる。低温多湿の気象条件が続くと発病しやすい。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
うどんこ病は「ウドンコカビ科」の菌による病気です。「細菌」ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ツマグロヨコバイが媒介するウイルス性の病害といえば「イネ萎縮病」です。縞葉枯病は「ヒメトビウンカ」などにより媒介されます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
いもち病は糸状菌が原因です。「ウイルス性」ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
紋枯病は、まず水際の茎葉部から病斑が生じ、だんだん上に進展していきます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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