公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.24解説

 問 題     

メンデルの遺伝の法則に関する記述として最も妥当なのはどれか。ただし,純系どうしの交雑から生じる世代をF(1 雑種第一代),F1 どうしの交雑から生じる世代をF(2 雑種第二代)と表すものとする。

1.メンデルは,1900 年に遺伝の法則に関する論文を発表した。この法則は,ド=フリース,コレンス,チェマルクの3 名も,メンデルとほぼ同時期に発見したが,メンデルの論文の発表が一番早く,また優れていると評価されたため,メンデルの法則と命名された。

2. 1 組の対立遺伝子A とa は,互いに混ざり合って中間の性質を持つ遺伝子に変化することはなく,配偶子には,どちらか一方の対立遺伝子が分配される。このことを,優性の法則という。優性の法則が成り立たないものとして,不完全優性があり,F2 の表現型は3 : 1 に分離する。

3. 2 組の対立遺伝子は,互いに独立して分離し,同じ頻度で配偶子を形成する。このことを,独立の法則という。この法則は,これらの遺伝子が別々の染色体上に乗っている場合に当てはまる。

4.完全優性の遺伝子をA,劣性の遺伝子をa とすると,F1 の遺伝子型の割合は,AA:Aa:aa=1 : 2 : 1 となる。このとき,ヘテロ接合体では,優性の形質が現れる。ヘテロ接合体で,どちらか一方の形質のみが現れることを,分離の法則という。

5.メンデルの実験結果について,観察数と理論数との一致性を確かめるためには,サンプル数が少ない場合には F 検定が,多い場合には t 検定が用いられる。観察数と理論数が同一であれば t 値はゼロとなり,開きが大きいと t 値は大きくなる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
メンデルの法則は 19C 半ばに発表されていたのですが、当時は注目されず、後に記述の3人の研究者により独立に再発見されるという経緯を経ました。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
不完全優性では、表現型は1:2:1に分離します。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
記述は「優性の法則」についてです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
分布の適合度検定なので、χ2 検定が用いられると考えられます。よって選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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