公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.21解説

 問 題     

我が国における花きの生育と開花調節に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.茎組織の細胞分裂と肥大を抑え,茎の伸長を抑える成長調節物質を矮化剤という。矮化剤は,葉面散布又は土壌灌注により,鉢物の草姿改善などに広く使用されている。現在使用されている矮化剤は,ジベレリンの生合成経路を阻害するものがほとんどである。

2.キクの抑制栽培は遮光栽培とも呼ばれ,秋ギクを遮光することにより, 4 ~ 9 月に収穫する。キクの促成栽培は電照栽培とも呼ばれ,生育初期に電照により長日処理をして,花芽分化を阻止し,適当な時期に電照をやめて開花させる。秋ギクを用いて,12~ 3 月に収穫する。

3.球根類の休眠を打破し,成長の開始を早めるためには,一般に,夏季に休眠する種類には低温を,冬季に休眠する種類には高温を与える。フリージアは低温によって,グラジオラスは高温によって休眠が打破される。

4.長日は,ダリアの球根形成と休眠を誘導する。短日処理を行うことにより,この休眠化を遅延又は回避することができる。キクのロゼット化は,低温により誘導され,長日条件の下で発現する。高温処理を行うことにより,このロゼット化を打破することができる。

5.ある一定以下の日長に置かれないと開花しないものを量的短日植物という。また,短日下でも長日下でも開花するが,短日の方が早いものを質的短日植物という。カーネーションは,量的短日植物であり,バラは,質的短日植物である。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
キクの抑制栽培の一種といえば電照菊です。「遮光」は明らかに誤りと考えられます。遮光する場合は「促成」栽培です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
「季節を勘違いさせるような方向」と考えれば、夏季に休眠する種類は「高温」、冬季に休眠する種類には「低温」と考えられます。フリージアは「高温」で休眠打破です。グラジオラスは「低温」で休眠打破です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ダリアは自然に育てると冬休眠です。つまり「短日」が休眠誘導です。また、ロゼットとは茎がほぼ伸びず根に直接葉がついているような状態のことです。高温で誘導され、低温で打破されます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
量的と質的の記述が逆です。また、バラは中性植物です。日照時間に関係なく開花します。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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