公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.20解説

 問 題     

花きの繁殖に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.ランの種子は,胚乳や子葉を持たないため,外から養分を与えないと発芽しない。自然環境では,菌根菌から養分をとって発芽する。人工的に発芽させるためには,一般に,菌根菌の助けを借りずに,無機塩類,糖,寒天などから成る人工培地を用いる。

2.接ぎ木は,技術的に最も簡単な繁殖法であり,季節を問わず行うことができる。また,実生苗や挿し木苗で繁殖できないものを,大量に繁殖させることができる。一方,同科同属でなければ親和性がないなどの欠点がある。

3.挿し木では,挿し穂を挿した後に不定根が形成される。不定根の形成を促進するためには,ジベレリン処理の効果が高い。挿し床の環境は,通風により湿度を低くし,補光を行って光合成を促進する必要がある。

4.カーネーションやシュッコンカスミソウなどでは,子葉の培養によりウイルスフリー株を得ることができる。子葉をカイネチン処理によって発根させた後,IAA(インドールー3ー酢酸)を含む培地に移植してシュートを発達させて,大量増殖する。

5.セル成型苗では,不良環境条件下での発芽率を高めるため,播種前の種子を温湯に漬けて急速に吸水させる。この処理はプライミングといわれ,パンジーやペチュニアなどの硬実種子で特に効果が高い。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
接ぎ木が「簡単」という記述は妥当ではないと考えられます。また「同科同属でなければ親和性がない」というわけでもありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
不定根形成促進のためには「オーキシン」処理の効果が高いです。ジベレリンは発根には抑制的に作用します。また、湿度はある程度の高さを維持します。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ウイルスフリー株を作るためには、「生長点培養」を行います。また、シュート発達の時に行うのがカイネチン処理です。細胞分裂を促します。インドールー3ー酢酸はオーキシンの一種です。発根に用います。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
発芽を揃えるために、発芽しない程度に吸水させるのがプライミングです。「硬実」だと吸水しない種子なので、効果が高いというのは誤りと考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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