公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.57解説

 問 題     

集団の支配等に関する記述ア~エのうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.N.マキアヴェリは,著書『君主論』の中で,国家を統治するためには,君主と臣民の間で相互信頼と倫理的紐帯を構築していくことが不可欠であるとし,政治はキリスト教的道徳観に基づいて行われるべきだと論じた。

イ.M.ヴェーバーは,支配者の非日常的資質あるいは能力に対する被支配者の情緒的服従によって支えられた支配の形態をカリスマ的支配と呼び,カリスマ的な支配者は,時間の経過に伴い,支配者自身の才能がますます磨かれ,発揮される「カリスマの日常化」段階に移行するとした。

ウ.R.ミヘルスは,社会集団における支配権力は,常に少数者によって行使されるという「寡頭制の鉄則」を定式化し,政党や組合組織が寡頭制支配者にとって権力と利益のための手段となり,一般成員との対立を生むとした。

エ.T.パーソンズとR.F.ベイルズは,リーダーには,生活の手段を調え集団を社会に適応させる「手段的リーダー」と,情緒的雰囲気の中で成員の統合と精神的安定を図る「表出的リーダー」の二つの類型があるが,社会集団の維持・存続のためには,「表出的リーダー」の役割よりも「手段的リーダー」の役割の方が重要であるとした。

1.ア
2.ウ
3.ア,エ
4.イ,ウ
5.イ,エ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ア ですが
マキアヴェリが君主論の中で述べた「マキャベリズム」は、目的のためには手段を選ばないやり方です。「君主と臣民の間で相互信頼と倫理的紐帯を構築してくことが不可欠」とは述べていません。あくまでも状況に応じ、目的に即した手段であることが重要という考え方です。記述 ア は誤りです。

記述 イ ですが
カリスマ的支配は、個人的資質により大多数の大衆の心を捉え、大衆的帰依による圧倒的な支持と賛同を集めたカリスマ的為政者によって支配や権威の正統性を担保するものです。(参考 H26no51)。カリスマは「非日常的」であるため、カリスマ的支配が伝統化、合理化されていくことを「カリスマの日常化」といいます。「支配者自身の才能がますます磨かれ」るわけではありません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ は妥当です。
ミヘルスの寡頭制の鉄則です。

記述 エ ですが
手段的リーダーと、表出的リーダーという類型は妥当です。これらは局面によりそれぞれ重要な役割を有すると考えられました。「手段的リーダーの役割の方が重要」という記述は妥当ではありません。記述 エ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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