公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.56解説

 問 題     

C.W.ミルズが提唱した「社会学的想像力」に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.「誇大理論」や「抽象化された経験主義」を批判して提唱されたもので,個人に関わる私的な問題を,社会構造に関する公的な問題に結び付け,歴史的状況と諸個人の生活史との関係を把握しようとするものである。

2.H.G.ブルーマーの理論を源流とし,言語を中心とするシンボルを媒介にした相互作用を通じて,社会的意味世界が絶えず解釈され再構成される過程に注目し,個人と社会の関係の基本的問題を明らかにしようとするものである。

3.上部構造である法的・政治的構造やイデオロギーなどは,下部構造である物質的要件を基礎として発展するとした唯物史観に依拠し,経済的発展を中心課題に据え,人間社会の発展の要件を検討するものである。

4.経験的事実に基づいて確証できる認識が重要であるとし,具体的事実の調査とそれから得られた事実の収集のみを科学的営みとして考えようとするものである。

5.C.レヴィ=ストロースの理論に依拠し,構造を要素と要素の間の関係から成る全体と見て,事象をその構造の要素間の関係や変換の結果として捉えようとするものである。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

ミルズが述べた「社会学的想像力」とは、ひとりひとりの人生(個人史)と歴史とが結びついていることを発見し、その結びつきを社会構造の中で理解する力といった解釈がされています。これをふまえ、各選択肢を検討すると「歴史的状況と諸個人の生活史との関係を把握しようとするもの」という記述が妥当です。

選択肢 1 は妥当です。

選択肢 2 ですが
「シンボリック相互作用論」についての記述です。「社会学的想像力」についてではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
カール・マルクスの「唯物史観」に関する記述です。「社会学的想像力」についてではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「実証主義」です。「社会学的想像力」についてではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「構造主義」です。「社会学的想像力」についてではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

コメント