公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.42解説

 問 題     

人権に関する宣言や条約についての記述A~Dのうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

A.世界人権宣言は,人権及び自由を尊重し確保するために,「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」を宣言したものであり,第一次世界大戦後の1922 年に開催された国際連盟総会において採択された。

B.女子差別撤廃条約*1 は,1979 年の国際連合総会において採択され,我が国では,男女雇用機会均等法*2 の制定等を経て,1985 年に批准された。同条約では,「女子に対する差別」が定義され,締約国に対し,女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃するために必要な措置をとることを求めている。

C.児童の権利に関する条約は,1989 年の国際連合総会において採択され,我が国では,児童買春・児童ポルノ禁止法*3 の制定等を経て,1990 年に批准された。同条約では,15 歳未満の者が「児童」と定義され,児童の生存や発達に関する受動的権利が明記される一方,集会・結社の自由等については成人と同様の権利が認められていない。

D.障害者の権利に関する条約は,2006 年の国際連合総会において採択され,我が国では,障害者差別解消法*4 の制定等を経て,2014 年に批准された。同条約では,合理的配慮の実施を怠ることを含め,障害に基づくあらゆる形態の差別が禁止されるとともに,条約の実施を促進,保護,監視するための枠組みを自国内に設けることとされた。

*1 正式には「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」

*2 正式には「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律(現・雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)」

*3 正式には「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」

*4 正式には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」

1.A
2.B
3.A,C
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
世界人権宣言は、「1948年」12月10日の第3回「国際連合」総会で採択された、すべての人民とすべての国が達成すべき基本的人権についての宣言です。第「二」次世界大戦後の話です。記述 A は誤りです。

記述 B は妥当です。
女子差別撤廃条約についての記述です。

記述 C ですが
児童の権利に関する条約において、児童は「18 歳未満」です。また、集会・結社の自由も認められています。記述 C は誤りです。

記述 D は妥当です。
障害者の権利に関する条約についての記述です。

以上より、正解は 4 です。

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